拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 リュティシアがリュティシアらしく暮らせる結婚を、ユーニスは望んでいた。これでも主人を敬愛してやまないから。

「……だからって勝手に承諾してしまってはいけませんよ。リュティさまの婚姻は国事行為なんですからね」

 本当にそれ。
 あの時、笑い合うリュティシアとエドゥアルドに外務卿は顔を引きつらせていた。リュティシアが一存で決めていいことではない。

「この件は至急ガルディアへ報告し判断をあおぐのでアルヴェイン国内ではまだ内密に」

 そう捨て台詞を残してリュティシアを回収した外務卿は、今頃必死に本国へ書面をしたためていることだろう。
 だがそこには――リュティシアは乗り気なこと、フェリスベルトは信頼できそうな人物であること、そしてフェリスベルトの連れ子がもうリュティシアになついていることなども書き連ねられるはず。
 外務卿だって、リュティシアの幸せを願っているのだ。


  ✻ ✻ ✻


 リュティシアの幸福を左右する男として急浮上したフェリスベルトは、ぴょんぴょん跳ねて喜びを表現する息子エドゥアルドに手を焼いていた。
 王宮の一角を占める王弟一家の居住区。そこに暮らす人は、使用人をのぞけば二人だけだ。だがそれが三人に増えるかもしれない。エドゥアルドは母親ができるのが楽しみすぎて、歌い踊っていた。

「おっかあさまー! おっかあさまー!! ねえ、お母さまってどんなものなの? ぼくルティチア(・・・・・)ひめさま、やさしくて好き!」

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