拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「燭台の鎖に〈腐〉の力が――となると、王太子を害そうとする晶術師がいるのか? 誰かに依頼されたとしても大変なことだ」
「あるいは結晶が盗まれ使われたか、ですな」
「狙いは王太子殿下とも限りますまい。あの燭台の真下に誰が立つかはわからなかった」
「落下した時間が思い通りだったとも限りませんしな……」
三々五々話し合う晶術師たち。そのざわめきを断ち切ったのは結晶院の副長官ジェレミアスの声だった。
「私はあの場にいたが、燭台の下に誰もいない可能性はあった。直接誰かに危害を、というより式典そのものへの抗議の意図があったのかもしれん」
このジェレミアスは、事件の直後にリュティシアを制止した、あの壮年晶術師だ。
式典が始まる前から広間の状況を見ていたジェレミアスによれば、燭台がもう少し早く落ちていたら王太子パルミロだけでなく第二王子セミオンも巻き込まれていたという。そんなことになっていたら、と想像して晶術師たちは身ぶるいした。
「こうなると犯人像が絞れなくなりますぞ……」
そんなうめき声にうなずいて、ジェレミアスは告げた。
「誰のどんな意図で為された事件か、我々には探れない。それは宮廷監察局に任せて、こちらは事件に使われた結晶の出どころを精査するとしよう。あと――身近な者に不審をおぼえることがあれば躊躇なく申し出るよう通達を」
晶術師の中に結晶を不正利用した者がいるとすれば大スキャンダルだ。術師を束ねる立場の執行部として、看過できない事態なのだった。
「あるいは結晶が盗まれ使われたか、ですな」
「狙いは王太子殿下とも限りますまい。あの燭台の真下に誰が立つかはわからなかった」
「落下した時間が思い通りだったとも限りませんしな……」
三々五々話し合う晶術師たち。そのざわめきを断ち切ったのは結晶院の副長官ジェレミアスの声だった。
「私はあの場にいたが、燭台の下に誰もいない可能性はあった。直接誰かに危害を、というより式典そのものへの抗議の意図があったのかもしれん」
このジェレミアスは、事件の直後にリュティシアを制止した、あの壮年晶術師だ。
式典が始まる前から広間の状況を見ていたジェレミアスによれば、燭台がもう少し早く落ちていたら王太子パルミロだけでなく第二王子セミオンも巻き込まれていたという。そんなことになっていたら、と想像して晶術師たちは身ぶるいした。
「こうなると犯人像が絞れなくなりますぞ……」
そんなうめき声にうなずいて、ジェレミアスは告げた。
「誰のどんな意図で為された事件か、我々には探れない。それは宮廷監察局に任せて、こちらは事件に使われた結晶の出どころを精査するとしよう。あと――身近な者に不審をおぼえることがあれば躊躇なく申し出るよう通達を」
晶術師の中に結晶を不正利用した者がいるとすれば大スキャンダルだ。術師を束ねる立場の執行部として、看過できない事態なのだった。