Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
「痛みから隠れるための覆面じゃなくてさ。
 柚歩が選んだ未来のための覆面。
 声を主役にするための形を、一緒に作りたいんだ」

その言葉は、胸の奥の揺れをそっと包み込むように落ちていった。
逃げるためではなく、選ぶための覆面。
その未来が、静かに輪郭を持ち始める。

柚歩はスケッチブックの上に描かれた青いラインを指でなぞった。
その青は、ラピスラズリの色と同じ深さを持っていた。
未来へ進む青。
ずっと胸元で揺れていた色。

「……顔を出さない未来を、選びたい」

その言葉は、震えも迷いもなく、
ただ静かに、柚歩の胸の奥からこぼれた。

琉生はその言葉を否定することなく、
ただまっすぐに受け止めた。

「柚歩が選ぶなら、それが未来だよ。
 君の声は、姿よりずっと強い光なんだ」

その瞬間、胸元のペンダントがふっと揺れた。
ラピスラズリの青が強く光り、
その光が柚歩の胸の奥にある未来の航路を、確かに照らしていく。

その揺れは、
“声で生きる未来”が静かに確かめてくれるような揺れだった。

控室の隅で愛生が小さな足でとことこ歩いてきて、
柚歩の膝にそっと手を置いた。

「ママ、あおいの、すき」

ラピスラズリの青を指さしながら笑う愛生の顔は、
未来そのものの光だった。

柚歩は愛生を抱き寄せ、胸元の青い光を見つめた。

「……うん、すきよ」

その青は、柚歩の心を溶かしていく澄んだ青だった。

選んだ覆面。
選んだ声。
選んだ未来。

ラピスラズリの青が、
そのすべてを静かに結びつけていた。
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