Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
第11章 最初の一歩-アイオライトー
スタジオの空気は、夜の静けさを少しだけ含んでいた。
照明は落とされ、録音ブースだけが柔らかい光に包まれている。
柚歩はその中央に立ち、覆面の内側でそっと息を整えた。
視界は少し狭い。
けれど、息はしやすい。
覆面をつけているのに、心は広がっていく。
顔を出さないことで、声が自由になる。
姿を見せないことで、声が深く響く。
その感覚が、胸の奥で静かに確かめられていく。
喉の奥がふっと震えた。
それはもう痛みではなく、
歌う前に息を整えるときの、戻ってきた緊張だった。
「……柚歩」
ガラス越しに琉生が呼ぶ。
その声は、スタジオの冷たい空気をやわらかく溶かすように静かで、
柚歩の胸の奥にそっと触れた。
柚歩が振り向くと、
琉生は機材を確認しながら、あの日と同じように揺れなくて、ただまっすぐだった。
「声だけで十分だよ」
その一言が、覆面の内側に静かに染みていく。
照明は落とされ、録音ブースだけが柔らかい光に包まれている。
柚歩はその中央に立ち、覆面の内側でそっと息を整えた。
視界は少し狭い。
けれど、息はしやすい。
覆面をつけているのに、心は広がっていく。
顔を出さないことで、声が自由になる。
姿を見せないことで、声が深く響く。
その感覚が、胸の奥で静かに確かめられていく。
喉の奥がふっと震えた。
それはもう痛みではなく、
歌う前に息を整えるときの、戻ってきた緊張だった。
「……柚歩」
ガラス越しに琉生が呼ぶ。
その声は、スタジオの冷たい空気をやわらかく溶かすように静かで、
柚歩の胸の奥にそっと触れた。
柚歩が振り向くと、
琉生は機材を確認しながら、あの日と同じように揺れなくて、ただまっすぐだった。
「声だけで十分だよ」
その一言が、覆面の内側に静かに染みていく。