Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
優海が立ち止まった瞬間、胸がざわついた。

書類を抱えた手が震えている。
いつも強く見える人が、
こんなふうに弱さを見せるなんて。

「優海……?」

名前を呼ぶ声が自然と柔らかくなる。

優海は俯いたまま、言葉を探していた。

その横顔は、
薄桃色の影が揺れているように見えた。

触れてはいけない気がした。
でも——
触れなければ届かない気もした。

久遠はそっと手を伸ばし、優海の指先に触れた。

ほんの少しだけ。
壊さないように。
逃げられるように。

でも、優海は離れなかった。

その温度が、
胸の奥に静かに広がった。

「……優海は、ひとりで背負いすぎだよ」

優海は小さく息を吸った。
その揺れが、
影から光へ向かう合図のように見えた。

ふたりの距離は、
ほんの少しだけ縮まった。

触れた温度が、
その証だった。
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