Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
病院を出た瞬間、夜風が頬を刺し、さっきまで胸の奥で渦巻いていた熱は一気に冷えてしまった。
代わりに重たい痛みだけが残り、その痛みが歩くたびに胸の奥で鈍く響いた。
——婚約者。
その言葉が何度も頭の中で反響し、歩きながらスマホが震えた。
胸が跳ねるのに、画面を見るのが怖くて、震える指で画面を点けると、
《我妻琉生》
視界が揺れ、開く勇気が出ないまま立ち止まり、深呼吸をして震える指でメッセージを開いた。
【先ほどはありがとうございました。ひとまず容体は安定しています。
ご心配をおかけしました】
丁寧で、落ち着いていて、いつもの琉生の文面。
でも、何かいつもと違う感情が胸の奥で静かに生まれていた。
“婚約者”という言葉が文面の向こう側にずっと貼りついて離れなかった。
返信を打とうとして指が止まる。
「よかったです」
「お大事にしてください」
「気にしないでください」
どれも違う。
どれも、自分の気持ちを隠すための言葉にしか見えなくて、そのどれもが苦しくて、結局、柚歩はスマホを閉じた。
——今は、返せない。
返したら、また期待してしまう。
また近づいてしまう。
また傷ついてしまう。
それが怖かった。
代わりに重たい痛みだけが残り、その痛みが歩くたびに胸の奥で鈍く響いた。
——婚約者。
その言葉が何度も頭の中で反響し、歩きながらスマホが震えた。
胸が跳ねるのに、画面を見るのが怖くて、震える指で画面を点けると、
《我妻琉生》
視界が揺れ、開く勇気が出ないまま立ち止まり、深呼吸をして震える指でメッセージを開いた。
【先ほどはありがとうございました。ひとまず容体は安定しています。
ご心配をおかけしました】
丁寧で、落ち着いていて、いつもの琉生の文面。
でも、何かいつもと違う感情が胸の奥で静かに生まれていた。
“婚約者”という言葉が文面の向こう側にずっと貼りついて離れなかった。
返信を打とうとして指が止まる。
「よかったです」
「お大事にしてください」
「気にしないでください」
どれも違う。
どれも、自分の気持ちを隠すための言葉にしか見えなくて、そのどれもが苦しくて、結局、柚歩はスマホを閉じた。
——今は、返せない。
返したら、また期待してしまう。
また近づいてしまう。
また傷ついてしまう。
それが怖かった。