Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
「いえ……そんな……」

言葉が続かず、琉生はそれ以上踏み込まず、ただ静かに柚歩の様子を見守るように立っていた。
その優しさがまた胸を揺らした。

「今日の午後、例のプロジェクトの打ち合わせがあります。無理のない範囲で大丈夫ですので……」

“無理のない範囲で”。
その言葉が柚歩の心にそっと触れた。
避けられても距離を置かれても、琉生は押しつけず、ただ柚歩のペースを尊重してくれる。

その優しさが昨日の優海の言葉と重なった。

——どうしてこんなに優しいんだろう。

胸が熱くなる。

「……はい。大丈夫です」

そう答えると琉生はほっとしたように微笑んだ。
その微笑みが胸の奥に静かに落ちた。

痛みと、温かさと、揺れと、不安と、希望が混ざり合っていく。

「では、後ほど」

琉生が去っていく背中を見送りながら、柚歩は小さく息を吐いた。

——まだ怖い。
——でも、逃げたくない。

優海の言葉が胸の奥でそっと光る。

“誰も悪くないよ”

その光が柚歩の心を少しだけ前に押し、午後の打ち合わせがいつもより少しだけ怖くない気がした。
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