Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
「……そんなこと」

「あるよ」

優海は少しだけ寂しそうに笑った。

「私ね、“平気なふり”が得意なの。昔からずっと」

柚歩は横顔を見る。
優海は続けた。

「弱いところを見せたら……誰かが離れていく気がして。だから、笑ってごまかすのが癖になっちゃった」

その言葉は昨日の優海の明るさとは違う、もっと深いところから出ているように聞こえた。

「でも昨日、柚歩ちゃんが声をかけてくれた時……
 “あ、気づいてくれる人もいるんだ”って思ったの」

優海は小さく息を吐いた。

「だから……ありがとう。助けてくれたこともだけど、見てくれたことが嬉しかった」

柚歩の胸がじんわりと温かくなる。

優海は歩きながら、ふと柚歩の方を見た。

「ねえ、柚歩ちゃん。無理して笑うの、私には分かっちゃうから」

その一言が胸の奥に静かに触れた。
押しつけでも慰めでもない。
ただ、“あなたの痛みに気づいてるよ”という優しさ。

柚歩は小さく頷いた。

「……ありがとうございます」

優海は嬉しそうに笑った。

「また会えたらいいな。話したいこと、まだあるから」

その“まだある”の中に、優海自身の影が少しだけ混ざっているように感じられた。
柚歩はその影に気づきながらも、なぜか怖くなかった。

むしろ——
その影ごと、優海という人を知りたいと思った。

胸の奥で、小さな光がまたひとつ灯った。
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