Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
琉生は続けた。

「無理に話さなくていいんです。ただ……避けられているように感じて、少しだけ……心配でした」

“心配でした。”
その一言が胸の奥に静かに落ち、握った手が震えていることに気づく。

「……避けてたわけじゃ、ないんです」

やっと絞り出した声はかすれていた。
琉生は驚いたように目を見開き、すぐに視線を落とした。

「……そうでしたか。なら、よかったです」

その“よかった”は安堵と、少しの痛みが混ざった声だった。
柚歩は胸が締めつけられた。

——傷つけていたのは、私の方だ。

「ただ……」

琉生が続けた。

「無理をしているように見えたので。もし……何かあれば、言ってください」

その言葉は優海の言葉と重なる。

“無理して笑うの、分かっちゃうから”

胸が熱くなる。

柚歩は小さく頷いた。

「……私の方こそ、ごめんなさい」

それだけ言うのが精一杯だった。

琉生はそれ以上踏み込まず、ただ静かに柚歩の返事を受け止めた。

「では……また、仕事で」

その言葉は距離を置くためではなく、柚歩の心を守るための“そっとした区切り”だった。

琉生が部屋を出ていく背中を見送りながら、柚歩は胸に手を当てた。

——どうしてこんなに、優しいんだろう。

痛みと、温かさと、揺れと、不安と、希望が混ざり合っていく。

優海の光が、琉生の優しさが、柚歩の心を少しずつ動かしていく。

すれ違いは、まだ終わらない。
でも——逃げたいとは思わなかった。
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