Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
そのとき、廊下の角で優海が静かに立っていた。
柚歩が一人で戻ってくると、優海はまるで待っていたかのように微笑んだ。
けれど、その笑顔はどこか儚かった。
「……よかった。ちゃんと話せたみたいだね」
柚歩は驚いて立ち止まった。
「優海ちゃん……」
優海は少し寂し気に微笑んだ。
「わかっていたの。ずっと琉生君には妹みたいだって思われてたこと。恋愛対象ではないって態度で何度も示されて寂しかった。私の気持ちは一生言うつもりはなかったけど……」
「……優海ちゃん、ずっと“婚約者”ってことにしてたよね」
「やっぱりわかってたんだ。でも、私の気持ちはもう届かない……分かるの。琉生くんの顔を見れば」
優海は柚歩に一歩近づいた。
「柚歩ちゃん」
その声は、優しさと痛みが混ざり合って胸の奥に静かに広がった。
「琉生くんは……誰かを“本気で好きになる”と、すごく不器用になるの」
柚歩は息を呑む。
「だから……ちゃんと向き合ってくれて、ありがとう」
胸が熱くなる。
「……私なんて……まだ何も……」
優海は首を振った。
「ううん。柚歩ちゃんの声が……琉生くんを変えたんだよ」
その言葉は静かに胸に落ち、波紋のように広がった。
優海は微笑んだが、その笑顔はやはりどこか切なかった。
「ねえ、柚歩ちゃん。琉生くんのこと……どうか、よろしくね」
柚歩は驚いた。
「え……優海ちゃん……?」
優海は少し視線を落とした。
「私は……もう“光の中”には立てないから」
その言葉に、遠くから久遠が静かに視線を向けた。
優海はすぐに笑顔を戻した。
「さあ、行こう。柚歩ちゃんの声が……このパーティーの主役なんだから」
琉生が柚歩を呼びに二人のもとにきた。
「大丈夫。優海には……支えてくれる“あいつ”がいるから」
「あいつ……?
そうですよね……優海ちゃんは、いつも光の中に立ってる人だから」
二人は並んで光の中へ戻っていった。
***
会場の照明が落ち、司会者の声が響く。
「それでは、新ブランド “Lumière Voix” の発表を開始いたします」
光がゆっくりと動き始め、
その中心で——
柚歩の声が未来に息を吹き込もうとしていた。
柚歩が一人で戻ってくると、優海はまるで待っていたかのように微笑んだ。
けれど、その笑顔はどこか儚かった。
「……よかった。ちゃんと話せたみたいだね」
柚歩は驚いて立ち止まった。
「優海ちゃん……」
優海は少し寂し気に微笑んだ。
「わかっていたの。ずっと琉生君には妹みたいだって思われてたこと。恋愛対象ではないって態度で何度も示されて寂しかった。私の気持ちは一生言うつもりはなかったけど……」
「……優海ちゃん、ずっと“婚約者”ってことにしてたよね」
「やっぱりわかってたんだ。でも、私の気持ちはもう届かない……分かるの。琉生くんの顔を見れば」
優海は柚歩に一歩近づいた。
「柚歩ちゃん」
その声は、優しさと痛みが混ざり合って胸の奥に静かに広がった。
「琉生くんは……誰かを“本気で好きになる”と、すごく不器用になるの」
柚歩は息を呑む。
「だから……ちゃんと向き合ってくれて、ありがとう」
胸が熱くなる。
「……私なんて……まだ何も……」
優海は首を振った。
「ううん。柚歩ちゃんの声が……琉生くんを変えたんだよ」
その言葉は静かに胸に落ち、波紋のように広がった。
優海は微笑んだが、その笑顔はやはりどこか切なかった。
「ねえ、柚歩ちゃん。琉生くんのこと……どうか、よろしくね」
柚歩は驚いた。
「え……優海ちゃん……?」
優海は少し視線を落とした。
「私は……もう“光の中”には立てないから」
その言葉に、遠くから久遠が静かに視線を向けた。
優海はすぐに笑顔を戻した。
「さあ、行こう。柚歩ちゃんの声が……このパーティーの主役なんだから」
琉生が柚歩を呼びに二人のもとにきた。
「大丈夫。優海には……支えてくれる“あいつ”がいるから」
「あいつ……?
そうですよね……優海ちゃんは、いつも光の中に立ってる人だから」
二人は並んで光の中へ戻っていった。
***
会場の照明が落ち、司会者の声が響く。
「それでは、新ブランド “Lumière Voix” の発表を開始いたします」
光がゆっくりと動き始め、
その中心で——
柚歩の声が未来に息を吹き込もうとしていた。