Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
プロジェクトの準備が整い、レセプションパーティーの日を迎えた。
会場に足を踏み入れた瞬間、柚歩は思わず立ち止まった。
天井から降り注ぐ光がゆっくりと揺れ、ガラスの壁に反射したジュエリーの輝きが空気の粒を照らしていく。
人々のざわめきは遠い世界の音のようで、自分だけが少し遅れてこの場所に到着したような感覚が胸の奥に広がった。
——こんな場所、私がいていいのかな……。
要が横で小さく笑った。
「緊張するよな。でも今日は、柚歩の声が主役だ」
美桜は資料を抱えたまま控えめに微笑んだ。
「……葉山さんの声が、この会場の“中心”になりますから……」
胸の奥がわずかに震え、息が浅くなる。
***
人の流れに押されるように歩いていると、背後からそっと腕を掴まれた。
振り返ると琉生がいて、その目がまっすぐにこちらを見ていた。
「……柚歩。少し、いい?」
ざわめきの中でもその声だけははっきり届き、胸の奥が痛む。
——優海ちゃんのこと、聞かなきゃいけない……。
琉生は会場の隅、人の少ない廊下へと柚歩を導いた。
照明が落ち、二人だけの空気がゆっくりと流れ始める。
琉生は深く息を吸った。
「……柚歩。誤解していると思うけど、俺と優海は婚約者ではないよ」
呼び捨てに変わったその声には迷いのない決意が宿っていて、柚歩は喉が詰まった。
「違う。もともと幼馴染で、親同士が口約束で決めただけ……。あの時は優海のおじさんとおばさんがいけなかったから俺が呼ばれていっただけだ。柚歩に誤解されてると思いながらなかなか言えなくてごめん。優海は小さい頃から妹みたいに思ってた」
胸の奥がほどけていくようで、足元が少しだけ軽くなる。
「……じゃあ……本当に……?」
琉生はまっすぐに柚歩を見つめた。
「俺が好きなのは……ずっと……柚歩だけだよ」
その言葉は静かに胸に落ち、視界が滲んだ。
「……よかった……ずっと……怖かった……聞けなくて……」
琉生はそっと柚歩の手を握った。
「もう怖がらなくていい。全部、ちゃんと話すから」
「……ありがとうございます……」
震える声で返すと、二人の距離がようやく同じ方向を向いた。
会場に足を踏み入れた瞬間、柚歩は思わず立ち止まった。
天井から降り注ぐ光がゆっくりと揺れ、ガラスの壁に反射したジュエリーの輝きが空気の粒を照らしていく。
人々のざわめきは遠い世界の音のようで、自分だけが少し遅れてこの場所に到着したような感覚が胸の奥に広がった。
——こんな場所、私がいていいのかな……。
要が横で小さく笑った。
「緊張するよな。でも今日は、柚歩の声が主役だ」
美桜は資料を抱えたまま控えめに微笑んだ。
「……葉山さんの声が、この会場の“中心”になりますから……」
胸の奥がわずかに震え、息が浅くなる。
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人の流れに押されるように歩いていると、背後からそっと腕を掴まれた。
振り返ると琉生がいて、その目がまっすぐにこちらを見ていた。
「……柚歩。少し、いい?」
ざわめきの中でもその声だけははっきり届き、胸の奥が痛む。
——優海ちゃんのこと、聞かなきゃいけない……。
琉生は会場の隅、人の少ない廊下へと柚歩を導いた。
照明が落ち、二人だけの空気がゆっくりと流れ始める。
琉生は深く息を吸った。
「……柚歩。誤解していると思うけど、俺と優海は婚約者ではないよ」
呼び捨てに変わったその声には迷いのない決意が宿っていて、柚歩は喉が詰まった。
「違う。もともと幼馴染で、親同士が口約束で決めただけ……。あの時は優海のおじさんとおばさんがいけなかったから俺が呼ばれていっただけだ。柚歩に誤解されてると思いながらなかなか言えなくてごめん。優海は小さい頃から妹みたいに思ってた」
胸の奥がほどけていくようで、足元が少しだけ軽くなる。
「……じゃあ……本当に……?」
琉生はまっすぐに柚歩を見つめた。
「俺が好きなのは……ずっと……柚歩だけだよ」
その言葉は静かに胸に落ち、視界が滲んだ。
「……よかった……ずっと……怖かった……聞けなくて……」
琉生はそっと柚歩の手を握った。
「もう怖がらなくていい。全部、ちゃんと話すから」
「……ありがとうございます……」
震える声で返すと、二人の距離がようやく同じ方向を向いた。