Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
麻衣に深く抱きしめられて、柚歩はゆっくりと玄関を出た。
夕方の光がまだ残っていて、街の色が少しだけ柔らかく見えた。
胸の奥には、さっき受け取った指輪の温度が静かに灯っていた。

その小さな光だけが、身体の中心を支えてくれているようだった。

家の前の道に、優海が立っていた。
柚歩の姿を見つけると、少しだけ眉を下げて微笑む。

「……大丈夫?」

その声は押しつけがましくなくて、ただ寄り添うだけの優しさだった。
柚歩は小さく頷いた。

「うん……大丈夫。……ありがとう」

優海はそれ以上何も聞かず、ただ隣に並んで歩き出した。
二人の歩幅が自然と揃って、夕暮れの道をゆっくり進む。

柚歩は胸に指輪を抱くように手を当てた。
温度がじんわりと広がって、涙がまたこぼれそうになる。
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