Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
夜明け前の空はまだ暗くて、街の灯りがぼんやり滲んでいた。柚歩は突然、腹の奥がぎゅっと掴まれるような痛みに目を覚ました。息が止まり、身体が震え、しばらく動けなかった。
「……っ……」
もう一度、強い痛みが走り、胸の奥がざわついた。これは——。柚歩は震える手で優海の部屋の扉を叩いた。
「……優海……っ……」
扉が開いた瞬間、優海の顔色が変わった。
「柚歩……? まさか……」
「……痛い……っ……」
優海はすぐに柚歩を支え、タクシーを呼んだ。外の空気は冷たかったのに、柚歩の身体は熱くて汗が滲んでいた。タクシーの揺れが痛みを増幅させ、息が乱れ、涙が滲んだ。
「大丈夫、大丈夫だから……」
優海の声が震えていた。病院に着くと麻衣がすでに駆けつけていた。柚歩の顔を見るなり、そっと手を握った。
「柚歩ちゃん……大丈夫よ。ここにいるから」
その言葉だけで胸の奥が少しほどけた。陣痛は波のように押し寄せ、痛みが来るたびに身体が勝手に震え、息が乱れ、涙がこぼれた。
「……怖い……っ……」
麻衣が髪を撫でた。
「大丈夫。怖くていいのよ。でもね……あなたは強い子だから」
優海は柚歩の手を握りしめ、必死に支えていた。その温度が柚歩を現実につなぎとめてくれた。時間の感覚が消え、痛みと呼吸だけが世界のすべてになった。
そして——その瞬間は突然訪れた。
「もうすぐよ、柚歩ちゃん……! あと少し……!」
麻衣の声が震え、優海の手が強く握られた。柚歩は最後の力を振り絞った。世界が白く弾けたような感覚のあと、小さな、かすかな泣き声が響いた。
「……っ……」
その声を聞いた瞬間、胸の奥が一気に熱くなり、涙が止まらなかった。看護師が小さな身体をそっと抱えてきて、柚歩の胸の上に置いたその子は、温かくて柔らかくて、信じられないほど小さかった。
「……生まれて……きてくれて……ありがとう……」
声にならない声で何度も呟き、涙が頬を伝い、子どもの額に落ちた。麻衣は泣いていて、優海も泣いていた。小さな命が確かにそこにいた。
柚歩は震える指でその頬に触れた。
「……あなたの名前は……愛生……“愛の生まれた日”……今日のために……ずっと……待ってたの……」
愛生は小さく息をして、その小さな手を柚歩の指に絡めた。
その瞬間、胸の奥で影が静かにほどけていった。
影の底で揺れていた光が、ようやく世界に触れた瞬間だった。
「……っ……」
もう一度、強い痛みが走り、胸の奥がざわついた。これは——。柚歩は震える手で優海の部屋の扉を叩いた。
「……優海……っ……」
扉が開いた瞬間、優海の顔色が変わった。
「柚歩……? まさか……」
「……痛い……っ……」
優海はすぐに柚歩を支え、タクシーを呼んだ。外の空気は冷たかったのに、柚歩の身体は熱くて汗が滲んでいた。タクシーの揺れが痛みを増幅させ、息が乱れ、涙が滲んだ。
「大丈夫、大丈夫だから……」
優海の声が震えていた。病院に着くと麻衣がすでに駆けつけていた。柚歩の顔を見るなり、そっと手を握った。
「柚歩ちゃん……大丈夫よ。ここにいるから」
その言葉だけで胸の奥が少しほどけた。陣痛は波のように押し寄せ、痛みが来るたびに身体が勝手に震え、息が乱れ、涙がこぼれた。
「……怖い……っ……」
麻衣が髪を撫でた。
「大丈夫。怖くていいのよ。でもね……あなたは強い子だから」
優海は柚歩の手を握りしめ、必死に支えていた。その温度が柚歩を現実につなぎとめてくれた。時間の感覚が消え、痛みと呼吸だけが世界のすべてになった。
そして——その瞬間は突然訪れた。
「もうすぐよ、柚歩ちゃん……! あと少し……!」
麻衣の声が震え、優海の手が強く握られた。柚歩は最後の力を振り絞った。世界が白く弾けたような感覚のあと、小さな、かすかな泣き声が響いた。
「……っ……」
その声を聞いた瞬間、胸の奥が一気に熱くなり、涙が止まらなかった。看護師が小さな身体をそっと抱えてきて、柚歩の胸の上に置いたその子は、温かくて柔らかくて、信じられないほど小さかった。
「……生まれて……きてくれて……ありがとう……」
声にならない声で何度も呟き、涙が頬を伝い、子どもの額に落ちた。麻衣は泣いていて、優海も泣いていた。小さな命が確かにそこにいた。
柚歩は震える指でその頬に触れた。
「……あなたの名前は……愛生……“愛の生まれた日”……今日のために……ずっと……待ってたの……」
愛生は小さく息をして、その小さな手を柚歩の指に絡めた。
その瞬間、胸の奥で影が静かにほどけていった。
影の底で揺れていた光が、ようやく世界に触れた瞬間だった。