Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
愛生を寝かしつけて部屋の扉をそっと閉めたあと、柚歩は静かなリビングに戻った。
そこに立っていた琉生と目が合った。
部屋の灯りは柔らかく、三年前の記憶と今日の光が静かに混ざり合うように揺れていた。

柚歩は小さく息を吸ってから言った。

「……座ってていいよ」

琉生は遠慮がちに頷き、ソファの端に腰を下ろした。
柚歩も少し離れた場所に座り、近すぎず遠すぎず、三年間の距離がそのまま形になったような位置で向き合った。

胸元の指輪とペンダントが、風もないのに微かに揺れた。
光は眠ったままなのに、どこかで静かに呼吸しているような気配があった。

沈黙が落ちた。
それは苦しいものではなく、言葉を探すための静かな間だった。

先に口を開いたのは琉生だった。

「……あのとき、帰ってきてたんだ」

柚歩は視線を落とし、ゆっくりと息を吸った。

「久遠さんから……聞いた」

琉生は膝の上で指を組んだまま、少しだけ目を伏せた。

「……会いたかった。本当は……何度も、会いたかった」

その声は弱さでも後悔でもなく、
三年間胸の奥に沈めていた本音がやっと外に出たような静けさだった。

柚歩は胸の奥がじんと熱くなるのを感じながら、
喉の奥に残っていた問いをそっと落とした。

「……どうして、来なかったの?」
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