Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
責めるためではなく、ただ三年間ずっと胸に残っていた疑問だった。

琉生は少しだけ笑い、自嘲でもなく痛みを抱えた人の笑みで言った。

「……資格がないと思った。俺が行ったら……壊すだけだって」

その瞬間、柚歩の胸元のペンダントがふっと揺れた。
光はまだ眠っているのに、心だけが静かに反応したようだった。

柚歩は言いかけた言葉を飲み込んだ。
三年前の自分を思い出してしまったからだった。
壊れたのは事実だった。
でも、それは琉生だけのせいじゃないと胸の奥でわかっていた。

琉生は続けた。

「……でも、今日……愛生を見て……柚歩が笑ってるのを見て……ああ、戻ってきてよかったって……思った。
 愛生は小さい頃の俺にそっくりだから……。愛生は好きになってくれるだろうか?」

その言葉が部屋の静けさに溶けていった。

柚歩は胸の奥がふっと温かくなるのを感じ、小さく息を吐いた。

「……大丈夫。琉生さんのこと大好きよ。愛生は自分から手を伸ばしたのは琉生さんが初めて……ありがとう」

それだけで精一杯だった。
三年間の痛みも今日の光も全部を言葉にするには、まだ早すぎた。

二人の間に落ちた沈黙は、三年前のような断絶ではなく、
少しずつ埋まっていく空白のようだった。

柚歩はそっと視線を上げ、静かに言った。

「……また、話そう。今日じゃなくても……ゆっくりでいいから」

琉生は驚いたように柚歩を見て、それから静かに頷いた。

「……うん。ゆっくりでいい。急がなくていい」

胸元の指輪とペンダントが微かに触れ合って小さな音を立てた。
光はまだ眠っているのに、心は確かに動き始めていた。

柔らかな灯りの中で、二人の影が静かに寄り添うように揺れた。
それはまだ頼りなくて、でも確かにそこにある——
新しい“三人の時間”の始まりだった。
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