Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
家を出て夜の空気に触れた瞬間、胸の奥に残っていた温度がふっと揺れて、琉生はゆっくりと歩き出した。
静かな住宅街の灯りが遠くで滲み、さっきまでいた部屋の柔らかな光がまだ瞼の裏に残っていた。
柚歩の声も、愛生の寝息も、全部が胸の奥で静かに響いていた。
三年間、触れられなかったものに触れてしまったような感覚があって、歩くたびに心の奥が少しずつざわめいた。
「……戻ってきた。なんて……言えないよな」
小さく呟いた声は夜に溶け、誰にも届かないまま消えていった。
戻りたいと思っていたわけじゃない。戻れると思っていたわけでもない。
ただ、今日、柚歩の“ありがとう”を聞いた瞬間、胸の奥で何かがほどけてしまった。
愛生の小さな手の温度がまだ指先に残っていて、その温度が三年間の空白をゆっくり埋めていくようだった。
「……会いたかったんだよ、本当は」
言葉にすると胸が痛んだ。
三年前、帰国して、会わずに去ったあの日の自分が、今になって重くのしかかってくる。
資格がないと思っていた。壊すだけだと思っていた。
けれど今日、柚歩が笑っていた。
愛生が手を伸ばしてくれた。
あの光景が胸の奥に焼きついて離れない。
静かな住宅街の灯りが遠くで滲み、さっきまでいた部屋の柔らかな光がまだ瞼の裏に残っていた。
柚歩の声も、愛生の寝息も、全部が胸の奥で静かに響いていた。
三年間、触れられなかったものに触れてしまったような感覚があって、歩くたびに心の奥が少しずつざわめいた。
「……戻ってきた。なんて……言えないよな」
小さく呟いた声は夜に溶け、誰にも届かないまま消えていった。
戻りたいと思っていたわけじゃない。戻れると思っていたわけでもない。
ただ、今日、柚歩の“ありがとう”を聞いた瞬間、胸の奥で何かがほどけてしまった。
愛生の小さな手の温度がまだ指先に残っていて、その温度が三年間の空白をゆっくり埋めていくようだった。
「……会いたかったんだよ、本当は」
言葉にすると胸が痛んだ。
三年前、帰国して、会わずに去ったあの日の自分が、今になって重くのしかかってくる。
資格がないと思っていた。壊すだけだと思っていた。
けれど今日、柚歩が笑っていた。
愛生が手を伸ばしてくれた。
あの光景が胸の奥に焼きついて離れない。