Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
「……御影さん、あなたどこまでご存知なんですか?」
御影は答えず、ただ静かに微笑んだ。
その笑みは優しさではなく、確信のある者の笑みだった。
「久遠さん。あなたは優しい。だから、言わない。守ろうとする。
けれど……それでは間に合わない」
「間に合わないって……何がですか?」
「“声”は、必ず戻る。そして“光”は、必ず呼ぶ。
あなたが止めても、もう動き始めた」
久遠は言葉を失った。
御影はゆっくりと背を向け、扉へ向かう。
「……行きます。
彼女の“光”を確かめに」
「待ってください、御影さん!」
久遠の声は届かなかった。
扉が静かに閉まり、スタジオに残ったのは久遠の荒い呼吸だけだった。
その頃、柚歩の家の前の道路に、黒い車が音もなく止まった。
街灯の下で影がひとつ降り立ち、家の灯りをじっと見つめる。御影だった。
窓の向こうで、柚歩がカーテンを閉める気配が見えた。
愛生の寝息が部屋に満ち、琉生の残した温度がまだソファに残っている。
御影はその光景を遠くから見つめ、静かに呟いた。
「……子供、ですか。……なるほど。やっと動き出した。
あの子……久遠さんに似ている。もしかして……」
その声は夜に溶け、誰にも届かない。
ただ、柚歩の胸元のペンダントが風もないのにふっと揺れた。
光はまだ眠っている。
けれど、影はもう目を覚ましていた。
御影は家に近づくことなく、ただその場に立ち尽くし、
“光の揺れ”を確かめるように目を細めた。
そして、ゆっくりと背を向ける。
接触はしない。まだその時ではない。
ただ——
光と影が同じ場所に立った。
それだけで十分だった。
御影は答えず、ただ静かに微笑んだ。
その笑みは優しさではなく、確信のある者の笑みだった。
「久遠さん。あなたは優しい。だから、言わない。守ろうとする。
けれど……それでは間に合わない」
「間に合わないって……何がですか?」
「“声”は、必ず戻る。そして“光”は、必ず呼ぶ。
あなたが止めても、もう動き始めた」
久遠は言葉を失った。
御影はゆっくりと背を向け、扉へ向かう。
「……行きます。
彼女の“光”を確かめに」
「待ってください、御影さん!」
久遠の声は届かなかった。
扉が静かに閉まり、スタジオに残ったのは久遠の荒い呼吸だけだった。
その頃、柚歩の家の前の道路に、黒い車が音もなく止まった。
街灯の下で影がひとつ降り立ち、家の灯りをじっと見つめる。御影だった。
窓の向こうで、柚歩がカーテンを閉める気配が見えた。
愛生の寝息が部屋に満ち、琉生の残した温度がまだソファに残っている。
御影はその光景を遠くから見つめ、静かに呟いた。
「……子供、ですか。……なるほど。やっと動き出した。
あの子……久遠さんに似ている。もしかして……」
その声は夜に溶け、誰にも届かない。
ただ、柚歩の胸元のペンダントが風もないのにふっと揺れた。
光はまだ眠っている。
けれど、影はもう目を覚ましていた。
御影は家に近づくことなく、ただその場に立ち尽くし、
“光の揺れ”を確かめるように目を細めた。
そして、ゆっくりと背を向ける。
接触はしない。まだその時ではない。
ただ——
光と影が同じ場所に立った。
それだけで十分だった。