Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
御影の言葉がまだ胸の奥に残っていて、その揺れが家族の形にそっと影を落としていた。

柚歩はテーブルの前に座り、
琉生と愛生を見つめた。
言葉にする前から、胸の奥が少し痛んだ。

「……ねえ、話したいことがあるの」

琉生は静かに頷き、
愛生は小さな手で柚歩の服をつまんだ。

「音楽プロデューサーの御影さんに……正式にオファーをもらったの。
 歌を、もう一度やらないかって」

言葉にした瞬間、胸の奥の光と影が同時に揺れた。

「でも……」

柚歩は息を吸い、喉の奥が少し震えた。

「母として……不安がある。
 愛生のこと、家のこと……全部、ちゃんと守れるのか分からない」

琉生は少しだけ目を伏せ、ゆっくりと息を吐いた。

「……俺も、父として考えてた」

その声は静かで、揺れがなくて、覚悟だけがそこにあった。
< 97 / 144 >

この作品をシェア

pagetop