エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
守りたいひと(滉太郎サイド)
ロンドンのヒースロー空港で出会った日本人、野々村仁奈は、俺にとって大変都合の良い存在だった。
今回の出張の目的は、義父と懇意にしているイギリスの貴族院議員からの紹介で招待してもらった、ペンブリッジ子爵が主催する財団の十周年記念パーティーに出席すること。
ペンブリッジ子爵はイギリスの食品流通の要ともいえる議員だ。
和牛や日本酒といった日本食を各国に普及させることは外務省全体のミッションのひとつ。外務省欧州局に所属し、イギリス外交を担当している俺も、イギリス政府へ日本食の輸出量増加を定期的に働きかけている。
イギリスにおける日本食の流通は、いくつか課題があった。知名度、食品規制はもちろんのこと、自国産業を守りたい一部の議員が外国食品の流入に慎重な姿勢を構えている、というのもある。
ペンブリッジ子爵もそのひとり。彼の心を掴み、日本食に対する心象を変えることができれば、輸出交渉もやりやすくなる。パーティーへの参加はその足掛かりだった。
どうやって子爵に取り入ろうか策を練っていたが、切り札は思いがけない形で俺の手の中に舞い込んできた。それが仁奈だ。
彼女は日本の空港で行方不明になった子爵の孫娘を助けて、子爵の息子からパーティーへの招待を受けていた。子爵が孫娘を溺愛していることは有名だ。使わない手はない。
幸いにも仁奈は英語が堪能で、イギリス文化にも精通していた。彼女をきっかけに子爵との会話は弾み、無事イギリスでの日本食の試食イベント開催に協力してもらう約束を取り付けることができた。
それに思わぬ副産物もあった。
仁奈を恋人に見立ててパーティに参加したことで、女性がまったくといっていいほど寄ってこなかったのだ。
単に周囲に説明しやすいから恋人を装っただけだったが、これは画期的だった。
今回の出張の目的は、義父と懇意にしているイギリスの貴族院議員からの紹介で招待してもらった、ペンブリッジ子爵が主催する財団の十周年記念パーティーに出席すること。
ペンブリッジ子爵はイギリスの食品流通の要ともいえる議員だ。
和牛や日本酒といった日本食を各国に普及させることは外務省全体のミッションのひとつ。外務省欧州局に所属し、イギリス外交を担当している俺も、イギリス政府へ日本食の輸出量増加を定期的に働きかけている。
イギリスにおける日本食の流通は、いくつか課題があった。知名度、食品規制はもちろんのこと、自国産業を守りたい一部の議員が外国食品の流入に慎重な姿勢を構えている、というのもある。
ペンブリッジ子爵もそのひとり。彼の心を掴み、日本食に対する心象を変えることができれば、輸出交渉もやりやすくなる。パーティーへの参加はその足掛かりだった。
どうやって子爵に取り入ろうか策を練っていたが、切り札は思いがけない形で俺の手の中に舞い込んできた。それが仁奈だ。
彼女は日本の空港で行方不明になった子爵の孫娘を助けて、子爵の息子からパーティーへの招待を受けていた。子爵が孫娘を溺愛していることは有名だ。使わない手はない。
幸いにも仁奈は英語が堪能で、イギリス文化にも精通していた。彼女をきっかけに子爵との会話は弾み、無事イギリスでの日本食の試食イベント開催に協力してもらう約束を取り付けることができた。
それに思わぬ副産物もあった。
仁奈を恋人に見立ててパーティに参加したことで、女性がまったくといっていいほど寄ってこなかったのだ。
単に周囲に説明しやすいから恋人を装っただけだったが、これは画期的だった。