エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
 衝撃的? 外からなにか音がしたんだろうか。私はなにも聞こえなかったけれど。

「お父さんのお見舞いに行くのはいいと思うけど、二日に一回は仁奈も大変じゃないか? 仕事もしてるし、無理をすると今度は仁奈が倒れるぞ」

「もし疲れちゃったらそのまま実家に泊まることにします。それに私、結構頑丈だから体調には自信があります」

「一ヶ月前に風邪を引いたばかりなのに?」

「それは、たまたまというか……」

「家のことが心配なら家事代行を手配するのはどうだ? 毎日業者が来たらお父さんも気をつかうだろうから、週三くらいで。それなら仁奈の負担も減るだろ? もちろん費用は俺が出すよ」

「そんな、滉太郎さんのご迷惑になるわけにはいきません」

「じゃあ週二回にしよう。その代わり、ちゃんとこの家に帰ってきてほしい。仁奈と顔を合わせる時間が減るのは俺が耐えられないんだ」

 本当の夫婦のように滉太郎さんは甘い言葉を言う。本当の夫婦に見えるように、普段から演技をしているんだと思う。わかっていても、頬に熱が集まる。

「……でも、滉太郎さんには父の治療費ですでにお世話になっていますし、そこまで甘えるわけには」

 私自身で家事代行を手配するのが一番いいのだけれど、残念ながら私のお給料にそれほどの余裕はない。

「その点は気にしなくていい。全部俺がやりたくてやってることだ。仁奈は頷いてくれるだけでいい」

「……本当にお願いしてもいいんでしょうか?」

「ああ。むしろそうしてくれた方が俺が助かる」

 結局また、滉太郎さんに甘えることになってしまった。

「じゃあ行ってくる」
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