癖毛同盟
4
「今日の前髪のうねり、ましになった!」
「わかるー、私の毛先もいいかんじだよ! 昨日のサロンのおかげだよ!」
放課後の図書室の片隅で、今日も女子グループが、ダラダラとお喋りに興じている。
ドラッグストアにトリートメントを見に行こうということになったようだ
彼女たちが出ていったあとは、数人が静かに本を探したり読んだりしている
私は貸出カウンターの奥で、隣に座る蓮先輩に、意を決して声をかけた。
「あの、蓮先輩」
「ん? どうしたの、菜乃ちゃん」
先輩は読んでいた本から顔を上げ、あの綺麗な瞳で私を見つめる。
「先輩、もしかして……昨日部室棟でやってた『癖毛同盟』っていうサロン、先輩が手がけたものですか?」
先輩は一瞬、丸く目を見開いた。
けれどすぐに、観念したようにちょっと照れくさそうに笑って、あっさりと白状した。
「ああ、バレちゃった? ……さすが菜乃ちゃん、よく気づいたね」
「やっぱり……! でも、どうしてそんなことを?」
私が尋ねると、先輩は少し赤面赤くしてそっぽを向いた。
「……だって、いつも図書室に人が多すぎるんだもん。
あの女の子たちが騒がしくて、全然菜乃ちゃんと二人きりで話せないでしょ」
「え……?」
「だから、友達の美容師のツテを使って、あのサロンを開いてもらったんだ。
女子たちが飛びつきそうな高級ヘアオイルをタダで配れば、みんなそっちに移動すると思って。
……あ、もちろん菜乃ちゃんが来たら作戦の意味がないから、図書委員は立ち入り禁止にしたんだけどさ」
あまりにもびっくりな理由に、私の頭は真っ白になった。
昨日、先輩が丁寧に留めてくれたヘアピンが、夕暮れの光を浴びてきらりと光る。
「菜乃ちゃんのために、ヘアケアのやり方もめちゃくちゃ勉強したんだよ。
……そこまでして、二人きりになりたかったの」
先輩はいたずらっぽく微笑みながら、私の爆発しがちな癖毛を、愛おしそうに優しく撫でた。
「俺、ずっと菜乃ちゃんのことが好きだったんだよ。
この可愛い癖毛も、これからは俺だけに独り占めさせて?」
コンプレックスだったはずの雨の日の髪が、先輩の体温でじんわりと温かくなっていく。
先輩の真っ直ぐで甘すぎる告白に、私の恋はこれ以上ないほど綺麗に実るのだった。
「わかるー、私の毛先もいいかんじだよ! 昨日のサロンのおかげだよ!」
放課後の図書室の片隅で、今日も女子グループが、ダラダラとお喋りに興じている。
ドラッグストアにトリートメントを見に行こうということになったようだ
彼女たちが出ていったあとは、数人が静かに本を探したり読んだりしている
私は貸出カウンターの奥で、隣に座る蓮先輩に、意を決して声をかけた。
「あの、蓮先輩」
「ん? どうしたの、菜乃ちゃん」
先輩は読んでいた本から顔を上げ、あの綺麗な瞳で私を見つめる。
「先輩、もしかして……昨日部室棟でやってた『癖毛同盟』っていうサロン、先輩が手がけたものですか?」
先輩は一瞬、丸く目を見開いた。
けれどすぐに、観念したようにちょっと照れくさそうに笑って、あっさりと白状した。
「ああ、バレちゃった? ……さすが菜乃ちゃん、よく気づいたね」
「やっぱり……! でも、どうしてそんなことを?」
私が尋ねると、先輩は少し赤面赤くしてそっぽを向いた。
「……だって、いつも図書室に人が多すぎるんだもん。
あの女の子たちが騒がしくて、全然菜乃ちゃんと二人きりで話せないでしょ」
「え……?」
「だから、友達の美容師のツテを使って、あのサロンを開いてもらったんだ。
女子たちが飛びつきそうな高級ヘアオイルをタダで配れば、みんなそっちに移動すると思って。
……あ、もちろん菜乃ちゃんが来たら作戦の意味がないから、図書委員は立ち入り禁止にしたんだけどさ」
あまりにもびっくりな理由に、私の頭は真っ白になった。
昨日、先輩が丁寧に留めてくれたヘアピンが、夕暮れの光を浴びてきらりと光る。
「菜乃ちゃんのために、ヘアケアのやり方もめちゃくちゃ勉強したんだよ。
……そこまでして、二人きりになりたかったの」
先輩はいたずらっぽく微笑みながら、私の爆発しがちな癖毛を、愛おしそうに優しく撫でた。
「俺、ずっと菜乃ちゃんのことが好きだったんだよ。
この可愛い癖毛も、これからは俺だけに独り占めさせて?」
コンプレックスだったはずの雨の日の髪が、先輩の体温でじんわりと温かくなっていく。
先輩の真っ直ぐで甘すぎる告白に、私の恋はこれ以上ないほど綺麗に実るのだった。