クールな敏腕上司の素顔が甘すぎて蕩けそうです。
①
大学を卒業してからの六年間は「仕事一筋」という言葉がピッタリだ。
「翠葉先輩、今日も残業ですかぁ?」
後輩の百合原羽依がデスクに頭を垂れて嘆くように訴えてくる。
「今日は金曜日だし、羽依ちゃんは先に帰っていいよ。後は私がやっておくから」
「えぇ……たまには一緒にご飯でも行きましょうよ。ほら、長瀬先輩も誘って」
語尾にハートマークを付けて喋る羽依は、翠葉の同期である長瀬啓介を狙っている。元々、恋愛体質な彼女は、可愛らしい見た目に反してかなり積極的に行動に出るタイプで、翠葉とは正反対だ。一昔前なら『肉食系女子』とか言っていたが、今はなんて言うのだろうと、蒼井翠葉は考えた。
「啓介も誘ってあげたいけど、今日はごめん。桐谷さんから呼び出されてて」
「え、先輩……何かやらかしたんですか?」
「分かんない。怒ってる様子ではなかったけど」
「怖い怖い。私、桐谷課長補佐がすごーーく苦手です。あの突き刺さるような視線が、もう……」
羽依がわざとらしくブルブルと震える素振りを見せる。
この間の会議のことを言っているのだろう。プレゼンをした社員に次々と手厳しい質問や意見を投げかけ、最終的には「会議の時間を無駄にするな」と叱責して終わった。
翠葉からすればその場凌ぎ的に取り繕った内容だっため、桐谷を怒らせたのも無理はないと感じていたが、確かにあれが長瀬だったなら、そこまでキツい印象にならないとも思った。
「翠葉先輩、今日も残業ですかぁ?」
後輩の百合原羽依がデスクに頭を垂れて嘆くように訴えてくる。
「今日は金曜日だし、羽依ちゃんは先に帰っていいよ。後は私がやっておくから」
「えぇ……たまには一緒にご飯でも行きましょうよ。ほら、長瀬先輩も誘って」
語尾にハートマークを付けて喋る羽依は、翠葉の同期である長瀬啓介を狙っている。元々、恋愛体質な彼女は、可愛らしい見た目に反してかなり積極的に行動に出るタイプで、翠葉とは正反対だ。一昔前なら『肉食系女子』とか言っていたが、今はなんて言うのだろうと、蒼井翠葉は考えた。
「啓介も誘ってあげたいけど、今日はごめん。桐谷さんから呼び出されてて」
「え、先輩……何かやらかしたんですか?」
「分かんない。怒ってる様子ではなかったけど」
「怖い怖い。私、桐谷課長補佐がすごーーく苦手です。あの突き刺さるような視線が、もう……」
羽依がわざとらしくブルブルと震える素振りを見せる。
この間の会議のことを言っているのだろう。プレゼンをした社員に次々と手厳しい質問や意見を投げかけ、最終的には「会議の時間を無駄にするな」と叱責して終わった。
翠葉からすればその場凌ぎ的に取り繕った内容だっため、桐谷を怒らせたのも無理はないと感じていたが、確かにあれが長瀬だったなら、そこまでキツい印象にならないとも思った。
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