紫陽花の短編集物語#3

一期一会学園

一期一会学園①★由良&伊織~一番近くて遠い、幼馴染という特等席~
【場所:放課後の教室】
オレンジ色の夕日が差し込む。由良が窓際で外を見ている。伊織が背後から近づく。
伊織:「またぼーっとしてんのか。帰るぞ、由良」
由良:「……伊織。私たち、何年一緒に帰ってるっけ?」
伊織:「は? 幼稚園からだろ。今更なんだよ」
由良:「(寂しげに笑って)……だよね。当たり前すぎて、忘れちゃいそう」
由良が先に歩き出す。伊織がその背中を見つめる。少しだけ切ない音楽。
るるのナレーション:「当たり前は、永遠じゃない。……エディット、開始」



一期一会学園②★歩~君の隣の席が、僕のゴールじゃない~
【場所:休み時間の教室】
歩が教科書を出しながら、隣の席の恵茉をチラチラ見ている。
恵茉は熱心にノートに何かを書いている。
歩:「恵茉、またそのノート? 何書いてんの」
恵茉:「あ、歩!……これね、晴斗先輩の好きな曲のリストなんだ」
歩:「(顔がひきつる)……へぇ。熱心だね」
恵茉:「うん! 私、先輩に近づきたいんだ」
恵茉の笑顔に、歩は力なく笑うしかない。
ノートの端には歩が書いた小さな落書き「恵茉」の文字が。歩はそれを手で隠す。



一期一会学園③★莉桜~ファインダー越しにしか、玲央を見つめられない~
【場所:中庭】
莉桜が一眼レフを構えている。被写体は、バスケをしている玲央。
莉桜:(心の声)『レンズを通せば、ずっと見ていられるのに。カメラを置いた途端、君の目が見られなくなるのは、どうして?』
玲央がシュートを決め、莉桜の方を振り返る。莉桜、慌ててカメラで顔を隠す。
玲央:「莉桜! 今の撮れた? 変な顔してなかった?」
莉桜:「(赤くなって)……かっこよく、撮れてるよ。バカ」
玲央:「(照れて)なんだよそれ」


一期一会学園④★乃愛&青葉~言葉はいらない、屋上の静寂だけでいい~
【場所:屋上】
騒がしい校内の喧騒を離れ、乃愛がイヤホンを半分こして青葉と座っている。
乃愛:「……みんな、好きだの嫌いだの、疲れないのかな」
青葉:「(空を見上げて)さあね。俺は、今のこの曲が静かで好きだけど」
乃愛:「……私も。青葉といる時だけ、静かになれる」
青葉が乃愛の手元にあるお菓子の袋を無言で開けて差し出す。
乃愛は小さく笑って一つ食べる。二人だけの、穏やかな時間。



一期一会学園⑤★由良&伊織~咲菜の登場。初めて感じた『奪われる』恐怖~
【場所:校門前】
帰り道、いつものように並んで歩く由良と伊織。
咲菜:「伊織くん! 待って!」
後ろから咲菜が走ってくる。伊織が立ち止まる。
伊織:「あ、咲菜。委員会の資料、忘れてたか?」
咲菜:「ううん、明日でもいいんだけど……一緒に帰りたくて」
伊織:「(少し戸惑いながら)ああ、いいけど……。由良、いいよな?」
由良:「(引きつった笑顔で)……もちろん。私、先に駅行ってるね」
一人で歩き出す由良は背中越しに聞こえる伊織と咲菜の楽しそうな声が聞こえてくる。
由良の拳がギュッと握られる。



一期一会学園⑥★芽育~蓮君の瞳に、私は映っていますか?~
【場所:放課後の美術室】
蓮が一人でキャンバスに向かっている。芽育が差し入れを持って入ってくる。
芽育:「蓮君、まだ描いてたんだ。……これ、飲む?」
蓮:「(筆を止めず)……ああ。そこに置いといて」
芽育:「(キャンバスを覗き込む)綺麗な青。……何を想って描いてるの?」
蓮:「……誰にも触れられない場所」
蓮の冷たくも美しい横顔。芽育は差し出した手を引っ込め、切なく微笑む



一期一会学園⑦★恵茉~晴斗先輩に届かない、背伸びしたラブレター~
【場所:夕方の廊下】
晴斗が部活帰りに歩いている。角で待ち伏せしていた恵茉が飛び出す。
恵茉:「は、晴斗先輩! これ、読んでください!」
震える手でピンクの封筒を差し出す恵茉。
晴斗:「(優しく笑って)ありがとう。でも恵茉ちゃん、今は部活で頭がいっぱいなんだ。ごめんね」
恵茉:「……っ。ですよね! 応援してるだけですから、私!」
走り去る恵茉。晴斗は受け取った封筒を、困ったように見つめる。



一期一会学園⑧★玲央~莉桜を笑わせたい。シャッターを切る本当の理由~
【場所:部室】
玲央がパソコンで莉桜の写真をチェックしている。隣に莉桜が座る。
玲央:「莉桜さ、笑うとき、ちょっと右の口角が上がるだろ」
莉桜:「え? そんなの意識したことない」
玲央:「俺、その顔が一番好き。……いや、写真としてだよ!」
莉桜:「(真っ赤になって)……バカ。変なとこばっかり見ないでよ」
玲央がカメラを構えて莉桜を不意打ちで撮る。二人の笑い声



一期一会学園⑨★詩音~芽育の視線の先を知っているから、僕は笑うしかない~
【場所:学校近くの公園】
詩音と芽育がベンチで話している。
芽育:「蓮君ってさ、どうしてあんなに遠くに感じるんだろう」
詩音:「(切なそうに)……さあね。でもさ、芽育。あんまり遠くばっかり見てると、近くの奴が寂しがるかもよ?」
芽育:「え? 誰のこと?」
詩音:「……なんでもない。アイス、溶けるぞ」
詩音はわざとおどけて芽育の頭を小突く。心の中では涙を流しながら。




一期一会学園⑩★るる~第1のエディット:12人の恋を整理する女の子~
【場所:自分の部屋】
るるがタブレットで「相関図」を編集している。メンバーのアイコンが矢印で結ばれていく。るる:「由良、伊織、咲菜……ここは三角関係の嵐。玲央と莉桜は、自覚なしの両片思い」 るるがため息をついて、窓の外を見る。
るる:「恋って不公平。でも、だからこそ美しく撮れる。……私は、みんなの『最高』を編集するだけ」






一期一会学園⑪★咲菜~奪うつもりなんてなかった。でも、好きになった~
【場所:図書室】
咲菜と伊織が並んで勉強している。咲菜が伊織の横顔を見つめる。
咲菜:「伊織君って、由良さんの話するとき、すごく楽しそうだよね」
伊織:「え? そうか?……まあ、腐れ縁だからな」
咲菜:「(小声で)……私にも、そんな風に笑ってくれたらいいのに」
伊織:「ん? 何か言ったか?」
咲菜:「ううん。あ、ねぇ、この問題、教えて!」





一期一会学園⑫★由良&伊織~大喧嘩。初めて二人の間に『幼馴染』以外の空気が流れる~
【場所:帰り道の土手】
由良と伊織が口論をしている。
由良:「もういい! 咲菜さんと帰ればいいじゃん!」
伊織:「なんでそうなるんだよ! お前が勝手に機嫌悪くなってるだけだろ!」
由良:「私は……! 伊織の『特別』でいたいだけなの!」
ハッとして口を塞ぐ由良。伊織が目を見開いて固まる。気まずい沈黙。



一期一会学園⑬★晴斗~恵茉の真っ直ぐさが、冷めていた僕の心を動かす~
【場所:部室棟の影】
晴斗が一人で素振りをしている。影から歩がそれを見ている)
歩:「先輩……恵茉、本気ですから。適当にあしらわないでください」
晴斗:「(素振りを止めて)適当じゃないよ。……あんなに真っ直ぐぶつかられたの、初めてで、戸惑ってるだけだ」
晴斗の意外な言葉に、歩は拳を握りしめる。





一期一会学園⑭★蓮~ミステリアスな仮面の裏側。るるにだけ見せた涙~
【場所:夜の旧校舎】
蓮が描けなくなったキャンバスを前に座り込んでいる。そこへるるが通りかかる。
るる:「蓮君? ……どうしたの」
蓮:「(声が震えている)……何を描けばいいのか、分からなくなった」
るるが蓮の肩にそっと手を置く。蓮が、るるの肩に額を預ける。
それを見てしまった芽育が物陰でショックを受ける。





一期一会学園⑮★歩&恵茉~放課後の教室、失恋を知っているから言えること~
【場所:放課後の教室】
恵茉が机に突っ伏して泣いている。歩が隣に座る。
恵茉:「晴斗先輩……やっぱり私は無理なのかな」
歩:「……泣くなよ。恵茉が頑張ってるの、俺が一番見てるから」
恵茉:「歩……」
歩:「(無理して笑って)俺は、お前の味方。世界中が敵になってもさ」
歩の優しさに、恵茉が少しだけ顔を上げる。歩の切ない恋心は、まだ秘密のまま。




一期一会学園⑯★玲央&莉桜~現像された写真に写っていた、隠しきれない独占欲~
【場所:暗室(写真部)】
赤い光の中、莉桜が写真を現像している。玲央が隣で覗き込む。
玲央:「これ……文化祭のポスター用か?」
莉桜:「うん。でも……変かな。玲央の横顔ばっかり撮っちゃって」
玲央:「(写真を見つめて)……お前、俺のことこんな風に見てたのか」
写真の中の玲央は、驚くほど優しく笑っている。二人の距離が数センチまで近づく。





一期一会学園⑰★乃愛&青葉~友達の境界線。青葉が初めて見せた『独り占め』の顔~
【場所:図書室のテラス】
乃愛が他の男子生徒と話している。それを見ていた青葉が、珍しく強引に乃愛の腕を引く。 乃愛:「……青葉? 急にどうしたの」
青葉:「……別に。あいつと話してる時の乃愛、つまらなそうだったから」
乃愛:「(驚いて)……青葉、怒ってる?」
青葉:「……怒ってない。ただ、俺以外にその顔見せんな」
無表情な青葉の耳が、赤くなっているのを乃愛は見逃さない。





一期一会学園⑱★由良&伊織~仲直りの花火。言葉にならない想いが指先に触れる~
【場所:夏祭りの帰り道】
喧嘩したままの二人。遠くで花火が上がる音。由良が立ち止まる。
由良:「伊織……ごめん。私、わがままだった」
伊織:「……俺も悪かった。咲菜のこと、お前に誤解させた」
伊織が由良の手をそっと握る。繋いだ手からは花火よりも熱い体温が伝わる。
伊織:「幼馴染じゃなくて……一人の女の子として、見ていいか?」




一期一会学園⑲★芽育&詩音「届かないリレー。バトンと一緒に渡したかった気持ち」
【場所:放課後の校庭】 (体育祭の練習。芽育が蓮を探してキョロキョロしている。詩音がそれを見て声をかける) 詩音:「芽育! 前向いて走れよ、転ぶぞ」 芽育:「あ、詩音……。蓮君、やっぱり来てないね」 詩音:「(バトンを渡しながら)俺が隣にいるだろ。……一瞬でいいから、俺だけ見てろよ」 (詩音の真剣な眼差しに、芽育の心が一瞬揺れ動く)




一期一会学園⑳★るる「第2のエディット:自分の心だけが、どこにも綴られていない」
【場所:夜の自室】 (編集画面を見つめるるる。メンバーの幸せそうな写真が並ぶ) るる:「……みんな、どんどん変わっていく。私の知らない顔になっていく」 (るるが自分一人の自撮り写真をゴミ箱に入れようとして、止める) るる:「エディット完了。……でも、私の心はどこに保存すればいいんだろう」




一期一会学園㉑★咲菜&歩「恋に破れた者同士、新しい季節へ踏み出す準備」
【場所:屋上】 (咲菜が一人で泣いている。そこへ歩がやってきて、黙って飲み物を置く) 咲菜:「……歩くんも、失恋?」 歩:「(苦笑いして)まあね。恵茉、晴斗先輩のこと本気だから」 咲菜:「私たち、似てるね。……ねえ、一緒に帰らない? 一人は寂しいから」 歩:「いいよ。……新しい友達の誕生祝いに、アイス奢るわ」




一期一会学園㉒★玲央&莉桜「両片思いの終焉。カメラを置いて、手を繋ぐ日」
【場所:夕暮れの中庭】 (玲央が莉桜に向き合う。首から下げたカメラを、カバンにしまう) 玲央:「莉桜。もう写真はいい。……今の君を、俺の目だけに焼き付けたい」 莉桜:「玲央……」 玲央:「好きだよ。……カメラ越しじゃなくて、直接言いたかった」 (莉桜が玲央の胸に飛び込む。シャッター音のない、二人だけの告白)




一期一会学園㉓★恵茉&晴斗~先輩の卒業まであと少し。100回目のアタックの答え~
【場所:卒業式を控えた体育館裏】
恵茉が晴斗に手作りのミサンガを渡す。
恵茉:「先輩が卒業しても、私、ずっと応援してますから!」
晴斗:「(ミサンガを見て)……恵茉ちゃん。これからは、客席じゃなくて、隣で応援してくれないか?」
恵茉:「え……? それって……」
晴斗:「僕も、君の真っ直ぐさに恋をしたんだ」





一期一会学園㉔★詩音&芽育&蓮~連鎖する片思いの果てに。恋より強い絆への昇華~
【場所:美術室】
蓮、芽育、詩音が三人で大きな絵を描いている。
蓮:「芽育、詩音。……俺、二人といる時が一番、色が綺麗に見える」
芽育:「(笑って)私も。恋とか、そういうのを超えちゃったかも」
詩音:「……ふん。俺の片思い、台無しだな。でも、この3人が最高なのは認めるよ」
恋は叶わなかった。けれど、代わりのきかない「居場所」がそこにはあった。





一期一会学園㉕★由良&伊織~幼馴染卒業。今日からは名前の呼び方を変えよう~
【場所:通学路の桜並木】
満開の桜の中、二人が並んで歩いている。少し照れくさそうに。
伊織:「……なぁ。もう『幼馴染』って紹介するの、やめるからな」
由良:「じゃあ、なんて言うの?」
伊織:「(由良の手を強く引いて)……俺の、大事な彼女。……い、いいだろ?」
由良:「(幸せそうに)……うん。よろしくね、伊織くん」




一期一会学園㉖★乃愛&青葉~私たちは私たちのままで。名前のつかない関係の完成~
【場所:放課後の音楽室】
青葉がピアノで静かな曲を弾いている。乃愛がピアノの横に座り、目を閉じている。
乃愛:「……ねえ、青葉。私たちって、付き合ってるの?」
青葉:(手を止めず)「……さあ。でも、俺の隣に座っていいのは乃愛だけだよ」
乃愛:「(クスッと笑って)……十分。その言葉だけで、明日も頑張れる」
定義なんていらない。二人にしか分からない「特別」がそこにある。




一期一会学園㉗★全員~文化祭前夜。12人で作り上げる、最初で最後の共同作業~
【場所:夜の教室・体育館】
文化祭の準備。ペンキで汚れたジャージ姿の12人。
由良と伊織が看板を運び、玲央が莉桜の作業姿を撮影している。
恵茉:「晴斗先輩、そっち押さえててください!」
晴斗:「了解。……歩、そっちは任せたぞ」
歩:「任せてください! 咲菜、もっと右!」
咲菜:「オッケー! ……ねえ、なんか今、すっごく楽しいね」
ぶつかり合った12人が、初めて一つの目標に向かって笑い合っている。




一期一会学園㉘★るる~第3のエディット:みんなの恋を応援して、私は強くなれた~
【場所:放送室】
るるが一人、文化祭で流す「12人の思い出動画」を最終チェックしている。
るる:(モノローグ)『一方通行だった恋も、実らなかった想いも。全部無駄じゃなかった。……私のカメラには、みんなの最高の瞬間が映ってる』
動画の最後に、るるが密かに撮っていた「12人全員の笑顔」を繋ぎ合わせる。
るる:「……よし。これが、私からみんなへのラブレター」





一期一会学園㉙★蓮&るる&芽育&詩音~ずっと仲良し。恋を超えた4人の秘密基地~
【場所:文化祭・屋台の裏】
4人が並んで座り、リンゴ飴を食べている。
蓮:「……俺、この4人なら、どこまででも行ける気がする」
芽育:「蓮君がそんなこと言うなんて。……でも、私も。詩音もでしょ?」
詩音:「(照れくさそうに)……まあ、悪くないな。この騒がしい関係も」
るる:「ねえ、約束だよ。10年後も、こうやって集まって笑ってようね」
4人は小指を絡め合い、永遠の友情を誓う。






一期一会学園≪最終話≫★~12人のエディット完了。この瞬間は、永遠に終わらない~『今まで私たちの恋を見守ってくれて、本当にありがとう‼ これからも、よろしくね!』
【場所:校門前の桜の木の下】
卒業式。12人が勢揃いしている。制服の胸には花。
るるが三脚を立ててセルフタイマーをセットする。
由良:「伊織、ネクタイ曲がってる」
伊織:「(照れて)いいんだよ別に。……ほら、撮るぞ!」
莉桜:「玲央、一番いい顔してよね!」
玲央:「任せろ、一発で決める」
晴斗・恵茉:「せーの……!」
全員:「「「一期一会!!!」」」
カシャッ、というシャッター音とともに画面が止まる。セピア色に変わっていく写真。

るるのナレーション:「人生は、一瞬のカットの積み重ね。 私たちはまた、バラバラの道を歩き出す。 でも、この学園で過ごした時間は、誰にも奪えない宝物。 ……エディット、完了。 一期一会学園。私たちの物語は、ここからまた始まっていく」






一期一会学園★総集編~由良&伊織&咲菜~『一番近くにいたはずなのに、誰より遠くを感じてる』

Episode 1:一番近くて遠い、特等席
【場所:夕暮れの教室】
窓の外を眺める由良。背後からデコピンをする伊織。
伊織:「またぼーっとしてんのか。帰るぞ、由良」
由良:「……伊織。私たち、何年一緒に帰ってるっけ?」
伊織:「は? 幼稚園からだろ。今更なんだよ」
由良:「(寂しげに笑って)……だよね。当たり前すぎて、忘れちゃいそう」
先に歩き出す由良の背中を、伊織が不思議そうに見つめる。


Episode 5:影を落とす、新しい足音
【場所:校門前】
二人で帰ろうとすると、後ろから咲菜が走ってくる。
咲菜:「伊織くん! 待って!……一緒に帰りたくて」
伊織:「ああ、いいけど……。由良、いいよな?」
由良:「(引きつった笑顔で)……もちろん。私、先に駅行ってるね」
一人で歩き出す由良。背後から聞こえる二人の楽しそうな声に、由良は拳を強く握りしめる。


Episode 12:爆発した想い、止まった時間
【場所:帰り道の土手】
夕日が沈みかけ、二人の影が長く伸びている。激しい口論。
由良:「もういい! 咲菜さんと帰ればいいじゃん! 私なんていなくても平気でしょ!」
伊織:「なんでそうなるんだよ! お前が勝手に不機嫌になってるだけだろ!」
由良:「私は……! 伊織の『特別』でいたいだけなの!」
ハッとして口を塞ぐ由良。風の音だけが響く。伊織が目を見開いて固まる。


Episode 18:仲直りの花火、指先の温度
【場所:夏祭りの帰り道】
浴衣姿の二人。喧嘩以来、距離があったが、遠くで花火が上がる音に足を止める。
由良:「伊織……ごめん。私、わがままだった。失うのが怖かったの」
伊織:「……俺も悪かった。咲菜のこと、お前に誤解させて」
伊織が由良の手をそっと握る。花火の光に照らされた二人の横顔。
伊織:「幼馴染じゃなくて……一人の女の子として、見ていいか?」
由良が涙を浮かべながら、強く頷く。

Episode 25:幼馴染卒業、恋人の始まり
【場所:春の桜並木】
満開の桜の中、二人が並んで歩いている。距離は以前よりずっと近い。
伊織:「……なぁ。もう『幼馴染』って紹介するの、やめるからな」
由良:「じゃあ、なんて言うの?」
伊織:「(少し照れながら、由良の手を引いて)……俺の、大事な彼女。……い、いいだろ?」
由良:「(最高の笑顔で)……うん。よろしくね、伊織くん」




















一期一会学園★総集編~玲央&莉桜~『シャッター音だけが、二人の”好き”を知っている』

Episode 3:ファインダー越しの臆病な視線
【場所:放課後の中庭】 (莉桜が一眼レフを構え、バスケ中の玲央を夢中で追っている) 莉桜:(心の声)『レンズを通せば、ずっと見ていられるのに。カメラを置いた途端、君の目が見られなくなるのは、どうして?』 (玲央がシュートを決め、莉桜の方を振り返る。莉桜は慌ててカメラで顔を隠す) 玲央:「莉桜! 今の撮れた? 変な顔してなかった?」 莉桜:「(顔を隠したまま、震える声で)……かっこよく、撮れてるよ。バカ」

Episode 8:シャッターを切る、本当の理由
【場所:写真部の部室】 (玲央がパソコンで莉桜の写真をチェックしている。莉桜が隣で覗き込む) 玲央:「莉桜さ、笑うとき、ちょっと右の口角が上がるだろ」 莉桜:「え? そんなの意識したことない」 玲央:「俺、その顔が一番好き。……いや、写真としてだよ!」 莉桜:「(真っ赤になって)……変なとこばっかり見ないでよ」 (玲央が不意打ちで莉桜にレンズを向ける。二人の無邪気な笑い声)

Episode 16:現像された、独占欲の証拠
【場所:赤い光が灯る暗室】 (莉桜が写真を現像液に浸している。玲央が隣で静かに見守る) 玲央:「これ……文化祭のポスター用か?」 莉桜:「うん。でも……変かな。玲央の横顔ばっかり撮っちゃって」 玲央:「(浮かび上がってきた自分の写真を見つめて)……お前、俺のことこんな風に見てたのか」 (写真の中の玲央は、驚くほど優しく、愛おしそうに笑っている。狭い暗室で、二人の距離が数センチまで近づく)

Episode 22:カメラを置いて、君に触れる日
【場所:夕暮れの中庭】 (玲央が莉桜の前に立ち、首から下げたカメラをゆっくりとカバンにしまう) 玲央:「莉桜。もう写真はいい。……今の君を、俺の目だけに焼き付けたい」 莉桜:「玲央……」 玲央:「好きだよ。……カメラ越しじゃなくて、直接言いたかった」 (莉桜が玲央の胸に飛び込む。静まり返った校庭に、シャッター音ではない、二人の鼓動だけが響く)







一期一会学園★総集編~歩&恵茉&晴斗~『届かない先輩、届けてほしい後輩。三つの心が交わる』

Episode 2:隣の席の、遠すぎる背中
【場所:休み時間の教室】 (歩が隣の席の恵茉をチラチラ見ている。恵茉はノートに熱心に何かを書いている) 歩:「恵茉、またそのノート? 何書いてんの」 恵茉:「あ、歩!……これね、晴斗先輩の好きな曲のリストなんだ」 歩:「(顔がひきつる)……へぇ。熱心だね」 恵茉:「うん! 私、先輩に近づきたいんだ」 (恵茉の無邪気な笑顔に、歩は力なく笑うしかない。ノートの端には歩が書いた小さな落書き「恵茉」の文字が。歩はそれを手で隠す)

Episode 7:届かない、背伸びしたラブレター
【場所:夕方の廊下】 (晴斗が部活帰りに歩いている。角で待ち伏せしていた恵茉が飛び出す) 恵茉:「は、晴斗先輩! これ、読んでください!」 (震える手でピンクの封筒を差し出す恵茉) 晴斗:「(優しく笑って)ありがとう。でも恵茉ちゃん、今は部活で頭がいっぱいなんだ。ごめんね」 恵茉:「……っ。ですよね! 応援してるだけですから、私!」 (走り去る恵茉。晴斗は受け取った封筒を、困ったように見つめる)

Episode 15:失恋を知っているから、言えること
【場所:放課後の教室】 (恵茉が机に突っ伏して泣いている。歩が隣に座り、黙って背中をさする) 恵茉:「晴斗先輩……やっぱり無理なのかな」 歩:「……泣くなよ。恵茉が頑張ってるの、俺が一番見てるから」 恵茉:「歩……」 歩:「(無理して笑って)俺は、お前の味方。世界中が敵になってもさ」 (歩の優しさに、恵茉が少しだけ顔を上げる。歩の切ない恋心は、まだ秘密のまま)

Episode 21:傷ついた者同士の、新しい約束
【場所:屋上】 (咲菜が一人で泣いている。そこへ歩がやってきて、黙って飲み物を置く) 咲菜:「……歩くんも、失恋?」 歩:「(苦笑いして)まあね。恵茉、晴斗先輩のこと本気だから」 咲菜:「私たち、似てるね。……ねえ、一緒に帰らない? 一人は寂しいから」 歩:「いいよ。……新しい友達の誕生祝いに、アイス奢るわ」 (二人の間に、恋とは違う「戦友」のような絆が芽生える)

Episode 23:100回目のアタック、溶け出した心
【場所:卒業式直前の体育館裏】 (恵茉が晴斗に手作りのミサンガを渡す。逃げずに、真っ直ぐ目を見て) 恵茉:「先輩が卒業しても、私、ずっと応援してますから!」 晴斗:「(ミサンガを握りしめて)……恵茉ちゃん。これからは、客席じゃなくて、隣で応援してくれないか?」 恵茉:「え……? それって……」 晴斗:「僕も、君の真っ直ぐさに恋をしたんだ」 (驚きで固まる恵茉。遠くからそれを見守る歩が、小さくガッツポーズをして背を向ける)
一期一会学園★総集編~乃愛&青葉~『言葉はいらない。君といる沈黙が、一番好き。』

Episode 4:屋上の静寂、イヤホンの共有
【場所:昼休みの屋上】 (騒がしい校舎から逃げてきた二人。乃愛がイヤホンを半分こして青葉に渡す) 乃愛:「……みんな、好きだの嫌いだの、疲れないのかな」 青葉:「(空を見上げて)さあね。俺は、今のこの曲が静かで好きだけど」 乃愛:「……私も。青葉といる時だけ、静かになれる」 (二人の間に流れる、言葉を超えた心地よい空気)

Episode 17:独占欲という名の、境界線
【場所:図書室のテラス】 (乃愛が他の男子生徒と楽しげに話している。それを見ていた青葉が、珍しく強引に乃愛の腕を引いて連れ出す) 乃愛:「……青葉? 急にどうしたの。あんなの、ただのクラスメイトだよ」 青葉:「(少し顔を背けて)……別に。あいつと話してる時の乃愛、つまらなそうだったから」 乃愛:「(驚いて)……青葉、もしかして怒ってる?」 青葉:「……怒ってない。ただ、俺以外にその顔見せんな」 (無表情な青葉の耳が赤くなっているのを、乃愛は愛おしそうに見つめる)

Episode 26:名前のつかない、特別な二人
【場所:放課後の音楽室】 (青葉が弾くピアノの音色が響く。乃愛がその背中に寄り添うように座る) 乃愛:「……ねえ、青葉。私たちって、付き合ってるの?」 青葉:(手を止めず、鍵盤を叩きながら)「……さあ。でも、俺の隣に座っていいのは乃愛だけだよ」 乃愛:「(クスッと笑って)……十分。その言葉だけで、明日も頑張れる」 (定義なんていらない。二人にしか分からない「特別」が完成した瞬間)














一期一会学園★総集編~詩音&芽育&蓮&るる~『恋は叶わなかったけど、永遠の友情になった。四角いキャンバス。四人で描く、未来の色。』

Episode 6:美術室の青、届かない指先
【場所:放課後の美術室】 (蓮が描く抽象画を見つめる芽育。その後ろ姿を、ドアの隙間から見つめる詩音) 芽育:「蓮君の瞳に、私は映っていますか?」 蓮:「(筆を止めず)……誰にも触れられない場所を描いてるんだ。邪魔しないで」 (冷たい言葉に傷つく芽育。詩音は拳を握りしめ、自分に言い聞かせる。『俺じゃ、あいつを笑わせられないのかよ』)

Episode 14:仮面の裏側、こぼれた涙
【場所:夜の旧校舎】 (完璧に見えた蓮が、真っ白なキャンバスを前に震えている。通りかかったるるが、その肩を抱く) 蓮:「……何も描けない。俺の中には、何もないんだ」 るる:「……大丈夫。蓮君の中には、綺麗な色がたくさんあるよ」 (蓮がるるにだけ見せた弱さ。それを陰で見てしまった芽育は、悟る。蓮が求めているのは自分じゃないことを)

Episode 19:届かないリレー、託したバトン
【場所:体育祭の校庭】 (蓮を探して上の空な芽育に、詩音が全力で走り寄りバトンを渡す) 詩音:「芽育! 前を向け! 転ぶぞ!」 芽育:「あ、詩音……」 詩音:「俺が隣にいるだろ! 一瞬でいいから、俺だけ見てろよ!」 (詩音の叫びが、芽育の凍りついた心を少しだけ溶かす)

Episode 24:恋を超えた、3人の居場所
【場所:美術室】 (蓮、芽育、詩音が一つの巨大な絵を一緒に描いている) 蓮:「芽育、詩音。……俺、二人といる時が一番、色が綺麗に見える」 芽育:「(笑って)私も。恋とか、そういうのを超えちゃったかも」 詩音:「(苦笑して)俺の片思い、台無しだな。でも、この3人が最高なのは認めるよ」 (恋は叶わなかった。けれど、それ以上に強い「友情」という色が混ざり合う)

Episode 29:永遠を誓う、秘密基地の4人
【場所:文化祭・屋台の裏】 (3人に、見守り続けたるるが加わる) るる:「約束だよ。10年後も、こうやって集まって笑ってようね」 蓮・芽育・詩音:「「「約束!」」」 (4人の小指が絡まり合う。恋に迷った日々が、最高の思い出に変わる)
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