紫陽花の短編集物語#3
空龍学園
登場人物紹介
【3年生:物語の重鎮】
•蓮(れん) / 高3
o所属: 部活動(部長)
o特徴: 後輩の結菜を健気に想い続ける、包容力抜群の先輩。クールに見えて実は一途。最終的に結菜と結ばれる。
•涼(りょう) / 高3
o特徴: 学校中の女子が憧れる高嶺の花。美月から熱烈な憧れの視線を向けられている。物語後半、彼女の純粋さに心を開いていく。
【2年D組:恋の嵐の真っ只中】
•湊(みなと) / 高2
o特徴: 美月とは幼馴染。ひまりから想いを寄せられており、最終的にひまりと結ばれる。詩にとっては「憧れの先輩」。
•ひまり / 高2
o特徴: 颯太から好意を持たれているが、本人は湊に夢中。クラスメイト同士の複雑な視線に揺れながらも、湊への愛を貫く。
•美月(みづき) / 高2
o特徴: 湊の幼馴染。3年生の涼に強い憧れを抱いている。「ただのファン」から「特別な存在」へと成長していく。
•颯太(そうた) / 高2
o所属: 部活動
o特徴: ひまりが好き。部活の後輩である結菜から慕われているが、本人はひまりを目で追ってしまう。
【2年H組:三角関係の均衡】
•紬(つむぎ) / 高2
o特徴: クラスメイトの蒼と律、二人から同時に想われるマドンナ的存在。どちらかを選ぶことができず、「3人で友達でいたい」という答えを出す。
•蒼(あおい) / 高2
o特徴: 紬が好き。律とは良きライバルであり親友。
•律(りつ) / 高2
o特徴: 紬が好き。蒼と共に紬を奪い合うが、最終的には3人の友情を大切にする。
【1年生:純粋な想いと憧れ】
•結菜(ゆいな) / 高1
o所属: 部活動
o特徴: 先輩の颯太に片想い中。蓮からは猛烈なアタック(?)を受けている。紆余曲折を経て、一番近くで支えてくれた蓮の存在の大きさに気づく。
•詩(うた) / 高1
oクラス: 1年B組
o特徴: 2年生の湊に憧れている。大和とは何でも話せる「大親友」のような仲。恋に破れた後も、大和との絆が彼女を支える。
•大和(やまと) / 高1
oクラス: 1年B組
o特徴: 詩が好き。でも、彼女が湊を追う姿を応援してしまう優しさを持つ。最終的に詩とは「一生モノの親友」として固い絆で結ばれる。
空龍学園~屋上ですれ違う視線~
【メイン:結菜 & 蓮】
〇空龍学園・屋上(夕方)
練習を終えた結菜(高1)が、グラウンドを見下ろしている。
その視線の先には、後片付けをする颯太(高2)。
結菜「(小声で)……颯太先輩、今日もかっこいいなぁ」
そこへ、背後から影が差す。
蓮(高3)「いつまで見てるんだ。もう完全下校だぞ」
結菜「あ、蓮先輩! すみません、すぐ帰ります!」
慌てて荷物を抱える結菜。その後ろ姿を、蓮が苦しげに見つめる。
蓮「(独白)……お前の視線の先に、俺がいればいいのに」
蓮の手には、結菜が忘れていったスポーツタオルが握られていた。
空龍学園~2-D、恋の四角関係~
【メイン:颯太 & ひまり】
〇2年D組・教室(昼休み)
賑やかな教室内。颯太(高2)が、隣の席のひまり(高2)に身を乗り出す。
颯太「な、ひまり! 今日の放課後、新作のアイス食べに行かない?」
ひまり「(湊を見つめながら)……え? ああ、ごめん颯太。今日は図書当番なんだ」
ひまりの視線の先には、静かに本を読む湊(高2)。
その湊の隣には、甲斐甲斐しく世話を焼く幼馴染の美月(高2)。
美月「湊、お弁当の野菜、残しちゃダメだよ?」
湊「……わかってるよ、美月」
楽しげな幼馴染コンビと、それを見つめるひまり。
そして、ひまりしか見ていない颯太。四人の視線は、一向に交わらない。
空龍学園~1-B、アイツは最高の相棒~
【メイン:大和 & 詩】
〇1年B組・教室(放課後)
大和(高1)と詩(高1)が、机を並べてスマホを覗き込んでいる。
詩「見て大和! 今日の湊先輩、部活のユニフォーム姿が神がかってない!?」
大和「(苦笑いして)はいはい、保存済みね。お前、本当に湊先輩のこと好きだよな」
詩「だって憧れだもん! 私、いつか先輩に告白するんだから」
大和「……そ。応援してるよ、親友として」
詩が笑って大和の肩を叩く。大和は引きつった笑顔でそれを返す。
大和「(心の声)……応援なんて、したくねーよ」
空龍学園~2-H、二人からの猛攻~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・教室(朝)
紬(高2)が自分の席に着くと、両サイドから蒼(高2)と律(高2)が迫る。
蒼「紬! 今度の週末、映画行こうぜ。チケット二枚あるんだわ」
律「蒼、強引すぎる。紬、そいつより俺と勉強会しない? 数学苦手だっただろ」
紬「えっ、えっと……二人ともありがとう。でも……」
蒼が紬の手を握り、律がその反対側の肩に手を置く。
蒼・律「「どっちにするんだよ?」」
紬「(困り顔で)……選べないよ。だ、だって……二人とも友達なんだもん……」
空龍学園~憧れの雲の上~
【メイン:美月 & 涼】
〇3年生の廊下(休み時間)
美月(高2)が、友達の後ろに隠れながら廊下を覗き見ている。
向こうから歩いてくるのは、圧倒的なオーラを放つ涼(高3)。
美月「(心臓の音:ドクン、ドクン)きた……! 涼先輩……」
涼が美月の前を通り過ぎる瞬間、一瞬だけ視線が合う。
涼「……ん? (美月に少しだけ微笑む)」
美月「(真っ赤になってしゃがみ込む)あ……あわわ、目が合った! 死んじゃう!」
湊との幼馴染としての安心感とは全く違う、心臓が痛くなるほどの「憧れ」。
美月の本当の恋が、静かに動き出す。
空龍学園~放課後のマンツーマン~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇空龍学園・体育館裏(夕方)
居残り練習をしている結菜。そこへ、蓮がボールを持って現れる。
蓮「まだやってたのか。フォーム、バラバラだぞ」
結菜「蓮先輩!……あ、はい。颯太先輩に追いつきたくて」
蓮「(少しムッとして)あいつの名前出すな。ほら、腰が高い。貸してみろ」
蓮が背後から結菜の手に触れ、フォームを修正する。至近距離に固まる結菜。
蓮「……俺が教えてる間は、俺のことだけ見てろ」
空龍学園~お弁当の奪い合い~
【メイン:湊 & ひまり & 美月】
〇2年D組・教室(昼休み)
湊が一人でお弁当を食べようとすると、ひまりがタッパーを持って駆け寄る。
ひまり「湊君! これ、おかず作りすぎちゃって……よかったら食べて!」
湊「え、あ、ありがとう……」
そこへ、美月が割り込む。
美月「ちょっと待った! 湊は私の玉子焼きじゃないと食が進まないんだから。ねー、湊?」 湊「……どっちも食べるから、落ち着けって」
二人の女子に挟まれ、困り顔の湊。それを見ていた颯太が、遠くで箸を噛み締めている。
空龍学園~親友の境界線~
【メイン:大和 & 詩】
〇帰り道の通学路
アイスを食べながら歩く大和と詩。
詩「ねえ、大和。今日さ、湊先輩に挨拶したら、笑ってくれたの!」
大和「へー、よかったな(棒読み)」
詩「もー、他人事だと思って! 私が先輩と付き合ったら、大和がキューピッドだよ?」
大和「(独り言のように小さな声で)……俺、そんな役やりたくねーんだけど」
詩「え? なんか言った?」
大和「(笑って誤魔化す)なんでもねーよ。ほら、口の横にチョコついてんぞ」
大和は指で詩の口元を拭うが、その手は少しだけ震えていた。
空龍学園~屋上、三人だけの約束~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇空龍学園・屋上(昼休み)
パンを食べる紬を、蒼と律が挟んで座っている。
蒼「紬、来月の修学旅行の自由行動、俺と組もうぜ。絶対楽しいから!」
律「俺も入る。三人で組めばいいだろ。蒼に紬を独占させるわけにいかない」
紬「あはは……そうだね。三人一緒が一番楽しいよ」
蒼「(苦笑)……お前、わざと言ってんのか?」
律「……いや、天然だ。そこが困るけど、可愛いんだよな~」
二人の火花をよそに、紬は空を見上げて微笑んでいる。
空龍学園~図書室のハプニング~
【メイン:美月 & 涼】
〇図書室(放課後)
高い棚の本を取ろうと背伸びする美月。しかし、指が届かない。
美月「んんーっ……あとちょっと……!」
背後からスッと伸びてきた手が、代わりに本を取る。振り返ると、そこには涼。
涼「これ? ……はい、落とさないように」
美月「あ……涼先輩! ありがとうございます!」
涼「(美月の制服のネームを見て)美月、か。いい名前だね」
美月の心臓が爆発しそうなほど跳ね上がる。涼はそのまま静かに去っていく。
美月「(放心状態で)……名前、呼ばれちゃった……」
空龍学園~雨宿りの衝動~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇校門前(放課後・雨)
突然の豪雨。傘がない結菜が困っていると、大きな傘が差し出される。
蓮「……入れよ。家まで送る」
結菜「蓮先輩! ありがとうございます。でも、悪いですよ」
蓮「いいから。……ほら、濡れるぞ」
蓮が結菜の肩を抱き寄せ、傘の中へ。密着する二人の距離。
結菜「(ドキドキして)あの、先輩……近い、です」
蓮「……嫌か? 俺は、もっと近づきたいと思ってるけど」
空龍学園~嫉妬のトライアングル~
【メイン:颯太 & ひまり & 湊】
〇中庭(昼休み)
湊とひまりが仲良く話しているのを、遠くから見ている颯太。
そこへ、美月がやってきて颯太の隣に立つ。
美月「ねえ颯太。あんたもあの中に入る勇気ないの?」
颯太「うるせーよ。……あいつ、湊といる時が一番楽しそうなんだよな」
美月「わかる。……私も、湊の隣は私だけのものだと思ってたんだけどね」
共通の「痛み」を感じる二人の間に、妙な連帯感が生まれる。
空龍学園~親友だから言えない~
【メイン:大和 & 詩】
〇放課後のファミレス
詩が熱心に手紙を書いている。
大和「おい、何書いてんだよ」
詩「湊先輩へのラブレター! 今度の試合の後に渡そうと思って」
大和の持っていたドリンクのストローが止まる。
大和「……マジで言ってる? 振られたらどうすんだよ」
詩「そん時は、大和が慰めてよね。親友でしょ?」
大和「(苦笑いして)……馬鹿。そんな役、一番やりたくねーよ」
空龍学園~二人の騎士(ナイト)~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇階段の踊り場(休み時間)
紬が他クラスの男子数人に絡まれている。
男子A「ちょっと顔貸してよ。いいだろ、連絡先くらい」
そこへ、左右から蒼と律が同時に現れる。
蒼「おい。俺の紬に気安く触んな」
律「俺の、だろ。……消えろ、こいつを困らせるやつは許さない」
男子たちが逃げ出した後、二人は紬を挟んで睨み合う。
紬「二人とも、ありがとう。でも『俺の』って……」
空龍学園~憧れの王子様の裏側~
【メイン:美月 & 涼】
〇生徒会室(夕方)
プリントを届けに来た美月。
ドアが少し開いており、中で涼が一人疲れ果てて机に突っ伏している。
涼「(ため息)……期待されるの、疲れるな……」
完璧超人の涼が見せた、初めての弱音。美月は思わず部屋に飛び込む。
美月「涼先輩! 私でよければ、お話聞きます!」
涼「(驚いて顔を上げ)……君は、あのときの。……おせっかいだな」
冷たい言葉とは裏腹に、涼の口元が少しだけ緩む。
空龍学園~奪われたファーストキス?~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇部室棟・影(放課後)
結菜が一人で片付けをしていると、蓮が入ってくる。
結菜「あ、蓮先輩。あの、昨日の雨の日のこと……」
蓮「(壁に手を突き、結菜を閉じ込める)……昨日のこと、忘れてないよな」
結菜「え……あの……」
蓮の顔がゆっくりと近づく。結菜が思わず目を閉じると、蓮は耳元で囁く。
蓮「……まだ、お預けだ。もっと俺のことだけ考えるようになったらな」
蓮はニヤリと笑って部室を出ていく。心臓が止まりそうな結菜。
空龍学園~偽りの笑顔~
【メイン:颯太 & ひまり & 湊】
〇図書室(放課後)
図書当番のひまりと湊。いい雰囲気の二人を見て、颯太は本の影から見守るしかない。
ひまり「湊君、この本……一緒に読む?」
湊「……ああ、いいよ」
二人が一つの本を覗き込む。その時、颯太がわざと大きな音を立てて本を落とす。
颯太「わっ、わりぃ! 手が滑ったわ!」
ひまり「(驚いて)なんだ、颯太もいたの?」
颯太「……おう。邪魔だったかよ」
寂しげな颯太の表情に、湊だけが鋭く気づく。
空龍学園~告白の結末~
【メイン:大和 & 詩】
〇体育館裏(放課後)
ついに湊を呼び出した詩。それを柱の影で見届ける大和。
詩「湊先輩! ずっと好きでした! 私と付き合ってください!」
湊「……ごめん。気持ちは嬉しいけど、好きな人がいるんだ」
詩が呆然と立ち尽くす。湊が去った後、詩は地面に座り込む。
そこへ大和がゆっくり歩み寄り、何も言わずに自分のパーカーを詩の頭から被せる。
大和「……泣くなよ。俺がついてるだろ」
詩「(パーカーの中で声を殺して泣き出す)……う、うわぁぁぁん!」
空龍学園~宣戦布告の握手~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇放課後の校門
紬が帰った後、残された蒼と律。
蒼「おい、律。お前、マジで紬のこと狙ってんの?」
律「当たり前だ。お前こそ、遊びなら手を引けよ」
蒼「遊びなわけねーだろ。……よし、正々堂々勝負だ。どっちが先に紬を振り向かせるか」 律「望むところだ。……負けても恨みっこなし、なんて言わないからな」
二人はバチバチと視線をぶつけ合い、固い握手を交わす。
空龍学園~憧れのその先へ~
【メイン:美月 & 涼】
〇生徒会室前(夕方)
涼への差し入れを持って立ちすくむ美月。 そこへ、涼が出てくる。
涼「……また君か。今日は何の用?」
美月「あ、これ……差し入れです! 昨日の先輩、疲れてたから……」
涼「(袋を受け取り)……律儀だな。……少し、歩かないか? 駅まで」
美月「ええっ!? い、いいんですか!?」
憧れでしかなかった涼との、初めての帰り道。
美月の恋が「夢」から「現実」に変わり始める。
空龍学園~先輩の背中、遠い距離~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇部室(放課後)
蓮が引退試合に向けて猛練習している。その姿を、結菜は切ない目で見つめている。
結菜「(独白)蓮先輩、あんなに一生懸命で……。私、先輩のこと全然知らなかった」
休憩に入った蓮に、結菜がスポーツドリンクを差し出す。
結菜「あの、お疲れ様です! 蓮先輩、すごくかっこよかったです」
蓮「……お前、そんなこと言うようになったのか。前は颯太のことしか見てなかっただろ」 結菜「それは……。でも今は、先輩の背中が、すごく遠くに見えて……」
蓮が結菜の頭をポンと叩く。
蓮「遠くない。俺は、ずっとここにいるよ」
空龍学園~図書室の宣戦布告~
【メイン:湊 & ひまり & 美月】
〇図書室(放課後)
湊が席を外した隙に、ひまりと美月が向き合う。
美月「ねえ、ひまり。あんた、湊のこと好きなの?」
ひまり「えっ……あ、う、うん……」
美月「(少し寂しそうに笑って)……やっぱり。でもね、あいつの幼馴染の座は渡さないから。恋とか愛とか、そんな単純なものじゃないんだよ、私たちは」
そこへ湊が戻ってくる。
湊「……二人で何話してんだよ」
ひまり「なんでもない! ね、美月ちゃん」
美月「そう、秘密の話。……ね、湊。早く帰ろ?」
空龍学園~親友という名の鎖~
【メイン:大和 & 詩】
〇ゲームセンター(休日)
失恋のショックから立ち直ろうと、詩を連れ出した大和。
詩「あはは! 見て大和、このぬいぐるみ、先輩に似てない?」
大和「……まだそんなこと言ってんのか。いい加減、忘れろよ」
詩「無理だよ……。だって、私にとっては初恋だったんだもん」
詩が俯く。大和は思わず、詩を抱きしめそうになる手をぐっと堪える。
大和「(独白)……俺の初恋も、終わらせてくれないんだな。お前は」
大和は黙って詩の欲しがっていたぬいぐるみをクレーンゲームで取る。
空龍学園~三人のバランス~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇放課後のファーストフード店
いつも通り三人で勉強しているが、どこか空気が重い。
蒼「紬、これ、俺が教えたやり方の方が早いぞ」
律「いや、教科書通りにやった方がミスがない。紬、こっちを見ろ」
二人から同時にノートを差し出され、困る紬。
紬「えっと……二人とも、ありがとう。でも、競い合うのはやめて? 私は……三人のこの時間が、一番好きなの」
紬の寂しげな一言に、蒼と律は顔を見合わせ、毒気を抜かれる。
蒼「……悪い。……そうだな」
律「……ああ。お前を困らせるのが一番ダメだったな」
空龍学園~特別へのステップ~
【メイン:美月 & 涼】
〇夕暮れの公園
涼と並んで歩く美月。
涼「美月さ。君、いつも俺に緊張しすぎだろ」
美月「だって、涼先輩は王子様ですから! 汚しちゃいけないっていうか……」
涼「(ふっと笑って)王子様なんて、柄じゃないよ。俺だって、普通の男だ」
涼が美月の方を向き、彼女の髪に触れた花びらを取る。
涼「……これからは、先輩じゃなくて、名前で呼んでみたら?」
美月「え……!? 涼……さん……?」
美月の顔がリンゴのように真っ赤になる。
空龍学園~部長、最後の夏~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇グラウンド(夕暮れ)
大会直前、蓮が一人で居残り練習をしている。
結菜は黙ってドリンクを準備し、彼を待っている。
蓮「(肩で息をしながら)……まだ、帰ってなかったのか」
結菜「蓮先輩の、最後を見届けたいんです。……私、先輩の力になりたい」
蓮「……じゃあ、俺が勝ったら、ご褒美。くれるか?」
結菜「え……? 褒美、ですか?」
蓮「(真剣な目で)ああ。お前の『特別』になりたい。……本気だぞ」
結菜は、初めて蓮を「先輩」ではなく「一人の男」として意識し、動揺する。
空龍学園~隠しきれない独占欲~
【メイン:湊 & ひまり】
〇放課後の廊下
ひまりが他校の男子にナンパされている。そこを通りかかった湊。
湊「……おい。何してんだよ」
ひまり「あ、湊君! ……ううん、なんでもないの」
湊は無言でひまりの腕を掴み、男子を鋭い眼光で追い払う。
ひまり「(驚いて)あ、ありがとう……。でも、湊君、強引だよ」
湊「……見ててイライラしただけだ。……お前は、隙がありすぎる」
湊が去った後、ひまりは赤くなった腕と、それ以上に熱い顔を両手で覆う。
空龍学園~最高の相棒へ~
【メイン:大和 & 詩】
〇夜の公園
文化祭の準備で遅くなった帰り道。詩がぽつりと呟く。
詩「ねえ、大和。最近、私……失恋したこと、忘れちゃってる気がする」
大和「いいことじゃん。いつまでも引きずっててもしょうがねーだろ」
詩「……全部、大和が隣にいてくれたからかな。なんか、安心しちゃうんだよね」
大和「(切なそうに笑って)……そっか。光栄だわ、相棒」
大和は自分の想いを心の奥底に封印し、彼女の「一番の理解者」として生きる決意を固める。
空龍学園~三人の文化祭~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・出し物の準備中
文化祭の衣装作りをする三人。紬がミシンで指を怪我しそうになる。
蒼・律「「危ない!」」
二人の手が同時に紬の手を覆う。重なる三人の手。
蒼「……あーもう! お前、見てて危なっかしいんだよ!」
律「落ち着け。怪我したらどうする。……ほら、残りは俺たちがやる」
紬「ごめんね……。でも、二人と一緒だと、私、すごく安心するよ!」
その笑顔に蒼も律も「これ以上の関係を望んで、この空気を壊したくない」という想いがよぎる。
空龍学園~幼馴染の卒業~
【メイン:美月 & 湊 & 涼】
〇生徒会室の裏
美月が涼と親しげに話しているのを、湊が影で見ている。
そこへ、涼が去った後、湊が美月の前に現れる。
湊「……お前、本当にあの人のこと好きなんだな」
美月「あ、湊……。うん。私、もう『湊の隣』に甘えてるだけの子供じゃいたくないの」
湊「(少し寂しそうに)……そっか。美月、大人になったな」
美月「……今までありがとう。これからは、湊も自分の恋、ちゃんと向き合いなよ?」
幼馴染としての依存が終わり、二人はそれぞれの恋へと歩き出す。
空龍学園~崩れたバランス~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・教室(放課後)
文化祭当日。クラスの喧騒から離れ、三人が教室の隅に座っている。
蒼「……なあ、紬。俺、やっぱりお前が好きだ。友達のままじゃいられない」
律「(驚いて)蒼……。抜け駆けかよ。……紬、俺も同じ気持ちだ」
突然のダブル告白に、紬が俯く。
紬「……嬉しい、けど……。私がどちらかを選んだら、三人の『今』は終わっちゃうよね?」 紬の目から涙がこぼれる。二人はそれ以上、何も言えなくなる。
空龍学園~後輩の決意、先輩の焦り~
【メイン:結菜 & 颯太 & 蓮】
〇部室の廊下
結菜が意を決して颯太を呼び出す。それを見かけてしまった蓮。
結菜「颯太先輩! ずっと憧れてました……。でも、今の私は……」
颯太「……ごめん、結菜。俺、好きな人がいるんだ。ずっと前から」
結菜「……はい。分かってました。ちゃんと区切りをつけたかったんです」
泣きそうになる結菜。そこへ蓮が割って入り、結菜の腕を引く。
蓮「……もういいだろ。こいつの涙は、俺が拭く」
空龍学園~図書室の夕暮れ~
【メイン:湊 & ひまり】
〇図書室(閉館間際)
静まり返った室内。湊とひまりが二人きりで棚の整理をしている。
ひまり「湊君。私、ずっと湊君のこと……」
湊「……言わなくていい。……分かってるから」
湊がひまりの肩に手を置く。
湊「俺も、お前のことが気になって仕方なかった。……美月のことばっかり気にして、お前の気持ちを後回しにしてた」
ひまり「(驚いて目を見開く)え……?」
湊「……これからは、お前だけを見る。約束だ」
空龍学園~1-B、最後の強がり~
【メイン:大和 & 詩】
〇文化祭の夜(校庭)
後夜祭のキャンプファイヤーを見つめる二人。
詩「ねえ、大和。私、やっと前を向けそう」
大和「そっか。……良かったな」
詩「……だからさ、次は大和の番だよ。好きな人、いるんでしょ? 応援するよ!」
大和「(苦笑して)……バカ。本当、何もわかってねーな」
大和は詩の頭をくしゃくしゃにかき回す。
大和「……いいんだ。俺は、今のこの距離が一番気に入ってるから」
空龍学園~仮面の下の素顔~
【メイン:美月 & 涼】
〇屋上(夜)
後夜祭の喧騒を避けて涼が一人で空を見上げている。
そこへ美月が息を切らしてやってくる。
美月「涼さん……! ずっと探しました!」
涼「……おせっかいだって言っただろ。……でも、君が来ないと少し寂しいって、思ってる自分がいるんだ」
涼が美月を優しく抱き寄せる。
涼「……俺の隣、空けておいたよ。美月」
美月「(感極まって)……私、一生ついていきます……!」
空龍学園~引退、そして告白~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇グラウンド・ベンチ(夕暮れ)
最後の大会を終えた蓮。ユニフォーム姿のまま、迎えに来た結菜と向き合う。
蓮「……負けちまったな。不格好な先輩でごめん」
結菜「そんなことないです! 私、蓮先輩のあきらめない姿に……何度も救われました」
蓮「(結菜の手を握る)……ご褒美、まだもらってない。結菜、俺はお前が……世界で一番好きだ」
結菜「(涙を浮かべて)……私、やっと気づきました。私が本当に見てほしかったのは、先輩です」
空龍学園~幼馴染からのエール~
【メイン:湊 & 美月 & 颯太】
〇屋上(放課後)
湊とひまりが付き合い始めたことを知った美月。
美月「湊! おめでとう。ひまりちゃんのこと、泣かせたら承知しないからね」
湊「……ああ。お前も、あの王子様(涼)と上手くやれよ」
そこへ、失恋した颯太が通りかかる。
颯太「……ちっ、お前ら幸せそうだな。俺にもその運気、分けてくれよ」
美月「颯太にも、いい人見つかるって! ……空龍学園の恋は、まだ終わらないんだから」
空龍学園~三人の沈黙~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・空っぽの教室
告白以来、気まずい空気が流れる三人。紬が二人を呼び出す。
紬「……蒼、律。私、ずっと考えてた。二人が大切すぎて、どちらかを選ぶ勇気が出ないの」 蒼「……責めてるわけじゃねーよ。ただ、嘘はつきたくなかった」
律「……俺もだ。でも、お前を泣かせるのが俺たちの目的じゃない」
紬「……わがままかもしれないけど。今はまだ、友達でいたい。二人が隣にいない未来なんて、考えられないから」
空龍学園~最高の相棒へ、宣誓~
【メイン:大和 & 詩】
〇学校の屋上(夕暮れ)
すっかり元気になった詩が、空に向かって叫ぶ。
詩「失恋記念日、終了ー! 明日からまた新しい私になるぞ!」
大和「(笑って)声デカすぎ。……でも、その方がお前らしいわ」
詩「ねえ、大和。私たち、おじいちゃんおばあちゃんになっても、こうして笑ってようね」 大和「……ああ。約束だ。世界で一番、お前の味方でいてやるよ」
大和は心の中で(……親友としてな)と付け加え、優しく彼女の隣で笑う。
空龍学園~予期せぬライバル~
【メイン:美月 & 涼】
〇3年生の教室(放課後)
涼に会いに来た美月。
しかし、涼が見知らぬ美女(他校の生徒)と親しげに話しているのを目撃してしまう。
美月「(ショックで足が止まる)……嘘。誰、あの人……」
涼は美月に気づき、すぐに駆け寄る。
涼「……美月。勘違いするな、あいつはただの従姉妹だ」
美月「……わ、わかってます! でも……先輩がモテるから、不安なんです!」
涼「(美月の額にデコピンをして)……俺が見てるのは、君だけだって言っただろ」
空龍学園~卒業式の足音~
【メイン:蓮 & 涼 & 結菜】
〇廊下(放課後)
3年生の卒業が目前に迫り、校内にはどこか寂しい空気が漂う。
結菜「蓮先輩……卒業しちゃうの、寂しいです。まだ教えてほしいこと、たくさんあったのに」
蓮「卒業しても、俺はお前の先輩だ。……それと、これからは部活以外でも呼び出していいんだぞ」
そこを通りかかった涼が、ふっと微笑む。
涼「蓮、未練がましいぞ。……ま、俺も美月を置いていくのは、少しだけ心残りだけどな」 学校を去る者と、残る者の想いが交錯する。
第42話:空龍学園~2-D、それぞれの決意~
【メイン:湊 & ひまり & 颯太】
〇2年D組・教室(放課後)
湊とひまりが仲良く帰る準備をしている横で、颯太が窓の外を眺めている。
ひまり「颯太、最近元気ないね。……あ、もしかして、私たちが付き合ってるから気まずい?」 颯太「……バカ、自意識過剰だよ。俺はただ、次の春に新しい風が吹くのを待ってるだけだ」 湊「(颯太の肩を叩き)……颯太。お前なら、もっといい奴に出会える。俺が保証するよ」 颯太「……へっ、幸せ者が言うと説得力ねーよ」
颯太は強がりながらも、二人の幸せを心から祝福していた。
空龍学園~親友以上恋人未満~
【メイン:大和 & 詩】
〇帰り道の踏切
遮断機が下りる中、大和と詩が並んで立っている。
詩「ねえ、大和。私たち、来年はいよいよ2年生だね。後輩ができたら、私たちも『先輩』らしくなれるかな?」
大和「……お前は今のままの『ドジな詩』でいいんじゃねーの。俺がフォローしてやるし」 詩「……(少し真面目な顔で)大和ってさ、たまにすごくかっこいいこと言うよね。ずるいな」
大和「(照れて顔を逸らす)……うるせー。ほら、開いたぞ。行くぞ」
二人の距離は、今のままで、何よりも尊いものになっていた。
空龍学園~三人の均衡(バランス)~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇屋上(放課後)
蒼と律が、紬を真ん中にして青空を見上げている。
蒼「……結局、答えは出なかったけどさ。俺、お前らといるこの時間が嫌いじゃないんだわ」 律「同感だ。……恋とか愛とかで、この空気を壊すのはもったいないって、今は思ってる」 紬「二人とも……ありがとう。私、本当に幸せ者だね」
紬が二人の手をそっと握る。
紬「いつか、誰かを心から選ぶ日が来ても……この三人の絆は、一生宝物だよ」
空龍学園~最後の一日~
【メイン:全員】
〇空龍学園・全景(朝)
ついに迎えた卒業式当日。 蓮と涼は、誇らしげに、そして少し寂しげに校門をくぐる。
それを出迎える結菜、湊、ひまり、美月、颯太……。
颯太「……ったく。今日でこのうるさい先輩たちともおさらばかよ」
蓮「(颯太の首を腕で抱え込み)何言ってんだ。明日からはお前が部活を支えるんだぞ、颯太」
泣き笑いの朝。空龍学園の長い一日の幕が開く。
空龍学園~卒業証書に託す想い~
【メイン:美月 & 涼】
〇体育館裏(式典後)
卒業証書を手にした涼を、美月が呼び止める。
美月「涼さん……本当におめでとうございます!」
涼「ありがとう。……美月、君に出会えて、俺の高校生活は完璧になったよ」
涼は自分の制服の「第二ボタン」を外し、美月の手のひらにそっと乗せる。
美月「これ……いいんですか?」
涼「……俺の心の鍵だと思って、持っててくれ」
美月はボタンを握りしめ、涙を堪えて満面の笑みを浮かべる。
空龍学園~王子様の約束~
【メイン:美月 & 涼】
〇駅のホーム
卒業後の進路が決まった涼。美月が見送りに来ている。
美月「涼さん……。大学に行っても、私のこと、忘れないでくださいね」
涼「忘れるわけないだろ。……美月。君が3年生を終えて、卒業する時、俺が迎えに来る」 涼が美月の小指に、自分の小指を絡める。
涼「これは、ただの憧れじゃない。……本気の約束だ」
美月「……はい! 私、世界一幸せな後輩になります!」
空龍学園~親友という名のゴール~
【メイン:大和 & 詩】
〇誰もいない1年B組・教室
片付けが終わった教室。大和と詩が向かい合って座っている。
詩「ねえ、大和。私たち、結局付き合わなかったね」
大和「……おいおい、今更かよ」
詩「でもね、私、今が一番幸せ。大和以上の理解者なんて、この世にいないもん」
大和「(照れ隠しに立ち上がり)当たり前だろ。……俺とお前は、一生モンだ。来年も、再来年も、ずっと隣にいてやるよ」
二人は拳をコツンと合わせ、恋を超えた「最強の絆」を誓う。
空龍学園~三人のこれから~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇屋上(夕暮れ)
沈みゆく太陽を三人で眺めている。
蒼「……なあ。俺たち、3年になっても、このままでいいのか?」
律「いいんじゃないか。無理に白黒つけるのが全てじゃない。……俺は、この関係を守りたい」
紬「二人とも……大好きだよ。いつか、誰かを本当に選べるようになるまで、もう少しだけ、こうしていさせて」
蒼と律はため息をつきながらも、紬の左右に並び、肩を並べる。
答えを出さないという、彼らなりの「答え」。
空龍学園≪最終話(50話)≫~未来へのチャイム~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇校門前(夕暮れ)
学校を去る蓮と、それを見送る結菜。
蓮「……じゃあな、結菜。次は、校門の外で会おう」
結菜「はい! 蓮先輩……次は私、もっと素敵な彼女になって会いに行きます!」
蓮が振り返り、結菜のおでこにキスをして、優しく抱きしめる。
その背景では、湊とひまりが手を繋いで歩き、大和と詩がふざけ合い、美月が涼の背中に大きく手を振っている。
(チャイムの音)
蓮「行こうか」
結菜「はい!」
二人は前を向き、それぞれの未来へと歩き出す。
空には龍のような雲が流れていた。
【3年生:物語の重鎮】
•蓮(れん) / 高3
o所属: 部活動(部長)
o特徴: 後輩の結菜を健気に想い続ける、包容力抜群の先輩。クールに見えて実は一途。最終的に結菜と結ばれる。
•涼(りょう) / 高3
o特徴: 学校中の女子が憧れる高嶺の花。美月から熱烈な憧れの視線を向けられている。物語後半、彼女の純粋さに心を開いていく。
【2年D組:恋の嵐の真っ只中】
•湊(みなと) / 高2
o特徴: 美月とは幼馴染。ひまりから想いを寄せられており、最終的にひまりと結ばれる。詩にとっては「憧れの先輩」。
•ひまり / 高2
o特徴: 颯太から好意を持たれているが、本人は湊に夢中。クラスメイト同士の複雑な視線に揺れながらも、湊への愛を貫く。
•美月(みづき) / 高2
o特徴: 湊の幼馴染。3年生の涼に強い憧れを抱いている。「ただのファン」から「特別な存在」へと成長していく。
•颯太(そうた) / 高2
o所属: 部活動
o特徴: ひまりが好き。部活の後輩である結菜から慕われているが、本人はひまりを目で追ってしまう。
【2年H組:三角関係の均衡】
•紬(つむぎ) / 高2
o特徴: クラスメイトの蒼と律、二人から同時に想われるマドンナ的存在。どちらかを選ぶことができず、「3人で友達でいたい」という答えを出す。
•蒼(あおい) / 高2
o特徴: 紬が好き。律とは良きライバルであり親友。
•律(りつ) / 高2
o特徴: 紬が好き。蒼と共に紬を奪い合うが、最終的には3人の友情を大切にする。
【1年生:純粋な想いと憧れ】
•結菜(ゆいな) / 高1
o所属: 部活動
o特徴: 先輩の颯太に片想い中。蓮からは猛烈なアタック(?)を受けている。紆余曲折を経て、一番近くで支えてくれた蓮の存在の大きさに気づく。
•詩(うた) / 高1
oクラス: 1年B組
o特徴: 2年生の湊に憧れている。大和とは何でも話せる「大親友」のような仲。恋に破れた後も、大和との絆が彼女を支える。
•大和(やまと) / 高1
oクラス: 1年B組
o特徴: 詩が好き。でも、彼女が湊を追う姿を応援してしまう優しさを持つ。最終的に詩とは「一生モノの親友」として固い絆で結ばれる。
空龍学園~屋上ですれ違う視線~
【メイン:結菜 & 蓮】
〇空龍学園・屋上(夕方)
練習を終えた結菜(高1)が、グラウンドを見下ろしている。
その視線の先には、後片付けをする颯太(高2)。
結菜「(小声で)……颯太先輩、今日もかっこいいなぁ」
そこへ、背後から影が差す。
蓮(高3)「いつまで見てるんだ。もう完全下校だぞ」
結菜「あ、蓮先輩! すみません、すぐ帰ります!」
慌てて荷物を抱える結菜。その後ろ姿を、蓮が苦しげに見つめる。
蓮「(独白)……お前の視線の先に、俺がいればいいのに」
蓮の手には、結菜が忘れていったスポーツタオルが握られていた。
空龍学園~2-D、恋の四角関係~
【メイン:颯太 & ひまり】
〇2年D組・教室(昼休み)
賑やかな教室内。颯太(高2)が、隣の席のひまり(高2)に身を乗り出す。
颯太「な、ひまり! 今日の放課後、新作のアイス食べに行かない?」
ひまり「(湊を見つめながら)……え? ああ、ごめん颯太。今日は図書当番なんだ」
ひまりの視線の先には、静かに本を読む湊(高2)。
その湊の隣には、甲斐甲斐しく世話を焼く幼馴染の美月(高2)。
美月「湊、お弁当の野菜、残しちゃダメだよ?」
湊「……わかってるよ、美月」
楽しげな幼馴染コンビと、それを見つめるひまり。
そして、ひまりしか見ていない颯太。四人の視線は、一向に交わらない。
空龍学園~1-B、アイツは最高の相棒~
【メイン:大和 & 詩】
〇1年B組・教室(放課後)
大和(高1)と詩(高1)が、机を並べてスマホを覗き込んでいる。
詩「見て大和! 今日の湊先輩、部活のユニフォーム姿が神がかってない!?」
大和「(苦笑いして)はいはい、保存済みね。お前、本当に湊先輩のこと好きだよな」
詩「だって憧れだもん! 私、いつか先輩に告白するんだから」
大和「……そ。応援してるよ、親友として」
詩が笑って大和の肩を叩く。大和は引きつった笑顔でそれを返す。
大和「(心の声)……応援なんて、したくねーよ」
空龍学園~2-H、二人からの猛攻~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・教室(朝)
紬(高2)が自分の席に着くと、両サイドから蒼(高2)と律(高2)が迫る。
蒼「紬! 今度の週末、映画行こうぜ。チケット二枚あるんだわ」
律「蒼、強引すぎる。紬、そいつより俺と勉強会しない? 数学苦手だっただろ」
紬「えっ、えっと……二人ともありがとう。でも……」
蒼が紬の手を握り、律がその反対側の肩に手を置く。
蒼・律「「どっちにするんだよ?」」
紬「(困り顔で)……選べないよ。だ、だって……二人とも友達なんだもん……」
空龍学園~憧れの雲の上~
【メイン:美月 & 涼】
〇3年生の廊下(休み時間)
美月(高2)が、友達の後ろに隠れながら廊下を覗き見ている。
向こうから歩いてくるのは、圧倒的なオーラを放つ涼(高3)。
美月「(心臓の音:ドクン、ドクン)きた……! 涼先輩……」
涼が美月の前を通り過ぎる瞬間、一瞬だけ視線が合う。
涼「……ん? (美月に少しだけ微笑む)」
美月「(真っ赤になってしゃがみ込む)あ……あわわ、目が合った! 死んじゃう!」
湊との幼馴染としての安心感とは全く違う、心臓が痛くなるほどの「憧れ」。
美月の本当の恋が、静かに動き出す。
空龍学園~放課後のマンツーマン~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇空龍学園・体育館裏(夕方)
居残り練習をしている結菜。そこへ、蓮がボールを持って現れる。
蓮「まだやってたのか。フォーム、バラバラだぞ」
結菜「蓮先輩!……あ、はい。颯太先輩に追いつきたくて」
蓮「(少しムッとして)あいつの名前出すな。ほら、腰が高い。貸してみろ」
蓮が背後から結菜の手に触れ、フォームを修正する。至近距離に固まる結菜。
蓮「……俺が教えてる間は、俺のことだけ見てろ」
空龍学園~お弁当の奪い合い~
【メイン:湊 & ひまり & 美月】
〇2年D組・教室(昼休み)
湊が一人でお弁当を食べようとすると、ひまりがタッパーを持って駆け寄る。
ひまり「湊君! これ、おかず作りすぎちゃって……よかったら食べて!」
湊「え、あ、ありがとう……」
そこへ、美月が割り込む。
美月「ちょっと待った! 湊は私の玉子焼きじゃないと食が進まないんだから。ねー、湊?」 湊「……どっちも食べるから、落ち着けって」
二人の女子に挟まれ、困り顔の湊。それを見ていた颯太が、遠くで箸を噛み締めている。
空龍学園~親友の境界線~
【メイン:大和 & 詩】
〇帰り道の通学路
アイスを食べながら歩く大和と詩。
詩「ねえ、大和。今日さ、湊先輩に挨拶したら、笑ってくれたの!」
大和「へー、よかったな(棒読み)」
詩「もー、他人事だと思って! 私が先輩と付き合ったら、大和がキューピッドだよ?」
大和「(独り言のように小さな声で)……俺、そんな役やりたくねーんだけど」
詩「え? なんか言った?」
大和「(笑って誤魔化す)なんでもねーよ。ほら、口の横にチョコついてんぞ」
大和は指で詩の口元を拭うが、その手は少しだけ震えていた。
空龍学園~屋上、三人だけの約束~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇空龍学園・屋上(昼休み)
パンを食べる紬を、蒼と律が挟んで座っている。
蒼「紬、来月の修学旅行の自由行動、俺と組もうぜ。絶対楽しいから!」
律「俺も入る。三人で組めばいいだろ。蒼に紬を独占させるわけにいかない」
紬「あはは……そうだね。三人一緒が一番楽しいよ」
蒼「(苦笑)……お前、わざと言ってんのか?」
律「……いや、天然だ。そこが困るけど、可愛いんだよな~」
二人の火花をよそに、紬は空を見上げて微笑んでいる。
空龍学園~図書室のハプニング~
【メイン:美月 & 涼】
〇図書室(放課後)
高い棚の本を取ろうと背伸びする美月。しかし、指が届かない。
美月「んんーっ……あとちょっと……!」
背後からスッと伸びてきた手が、代わりに本を取る。振り返ると、そこには涼。
涼「これ? ……はい、落とさないように」
美月「あ……涼先輩! ありがとうございます!」
涼「(美月の制服のネームを見て)美月、か。いい名前だね」
美月の心臓が爆発しそうなほど跳ね上がる。涼はそのまま静かに去っていく。
美月「(放心状態で)……名前、呼ばれちゃった……」
空龍学園~雨宿りの衝動~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇校門前(放課後・雨)
突然の豪雨。傘がない結菜が困っていると、大きな傘が差し出される。
蓮「……入れよ。家まで送る」
結菜「蓮先輩! ありがとうございます。でも、悪いですよ」
蓮「いいから。……ほら、濡れるぞ」
蓮が結菜の肩を抱き寄せ、傘の中へ。密着する二人の距離。
結菜「(ドキドキして)あの、先輩……近い、です」
蓮「……嫌か? 俺は、もっと近づきたいと思ってるけど」
空龍学園~嫉妬のトライアングル~
【メイン:颯太 & ひまり & 湊】
〇中庭(昼休み)
湊とひまりが仲良く話しているのを、遠くから見ている颯太。
そこへ、美月がやってきて颯太の隣に立つ。
美月「ねえ颯太。あんたもあの中に入る勇気ないの?」
颯太「うるせーよ。……あいつ、湊といる時が一番楽しそうなんだよな」
美月「わかる。……私も、湊の隣は私だけのものだと思ってたんだけどね」
共通の「痛み」を感じる二人の間に、妙な連帯感が生まれる。
空龍学園~親友だから言えない~
【メイン:大和 & 詩】
〇放課後のファミレス
詩が熱心に手紙を書いている。
大和「おい、何書いてんだよ」
詩「湊先輩へのラブレター! 今度の試合の後に渡そうと思って」
大和の持っていたドリンクのストローが止まる。
大和「……マジで言ってる? 振られたらどうすんだよ」
詩「そん時は、大和が慰めてよね。親友でしょ?」
大和「(苦笑いして)……馬鹿。そんな役、一番やりたくねーよ」
空龍学園~二人の騎士(ナイト)~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇階段の踊り場(休み時間)
紬が他クラスの男子数人に絡まれている。
男子A「ちょっと顔貸してよ。いいだろ、連絡先くらい」
そこへ、左右から蒼と律が同時に現れる。
蒼「おい。俺の紬に気安く触んな」
律「俺の、だろ。……消えろ、こいつを困らせるやつは許さない」
男子たちが逃げ出した後、二人は紬を挟んで睨み合う。
紬「二人とも、ありがとう。でも『俺の』って……」
空龍学園~憧れの王子様の裏側~
【メイン:美月 & 涼】
〇生徒会室(夕方)
プリントを届けに来た美月。
ドアが少し開いており、中で涼が一人疲れ果てて机に突っ伏している。
涼「(ため息)……期待されるの、疲れるな……」
完璧超人の涼が見せた、初めての弱音。美月は思わず部屋に飛び込む。
美月「涼先輩! 私でよければ、お話聞きます!」
涼「(驚いて顔を上げ)……君は、あのときの。……おせっかいだな」
冷たい言葉とは裏腹に、涼の口元が少しだけ緩む。
空龍学園~奪われたファーストキス?~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇部室棟・影(放課後)
結菜が一人で片付けをしていると、蓮が入ってくる。
結菜「あ、蓮先輩。あの、昨日の雨の日のこと……」
蓮「(壁に手を突き、結菜を閉じ込める)……昨日のこと、忘れてないよな」
結菜「え……あの……」
蓮の顔がゆっくりと近づく。結菜が思わず目を閉じると、蓮は耳元で囁く。
蓮「……まだ、お預けだ。もっと俺のことだけ考えるようになったらな」
蓮はニヤリと笑って部室を出ていく。心臓が止まりそうな結菜。
空龍学園~偽りの笑顔~
【メイン:颯太 & ひまり & 湊】
〇図書室(放課後)
図書当番のひまりと湊。いい雰囲気の二人を見て、颯太は本の影から見守るしかない。
ひまり「湊君、この本……一緒に読む?」
湊「……ああ、いいよ」
二人が一つの本を覗き込む。その時、颯太がわざと大きな音を立てて本を落とす。
颯太「わっ、わりぃ! 手が滑ったわ!」
ひまり「(驚いて)なんだ、颯太もいたの?」
颯太「……おう。邪魔だったかよ」
寂しげな颯太の表情に、湊だけが鋭く気づく。
空龍学園~告白の結末~
【メイン:大和 & 詩】
〇体育館裏(放課後)
ついに湊を呼び出した詩。それを柱の影で見届ける大和。
詩「湊先輩! ずっと好きでした! 私と付き合ってください!」
湊「……ごめん。気持ちは嬉しいけど、好きな人がいるんだ」
詩が呆然と立ち尽くす。湊が去った後、詩は地面に座り込む。
そこへ大和がゆっくり歩み寄り、何も言わずに自分のパーカーを詩の頭から被せる。
大和「……泣くなよ。俺がついてるだろ」
詩「(パーカーの中で声を殺して泣き出す)……う、うわぁぁぁん!」
空龍学園~宣戦布告の握手~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇放課後の校門
紬が帰った後、残された蒼と律。
蒼「おい、律。お前、マジで紬のこと狙ってんの?」
律「当たり前だ。お前こそ、遊びなら手を引けよ」
蒼「遊びなわけねーだろ。……よし、正々堂々勝負だ。どっちが先に紬を振り向かせるか」 律「望むところだ。……負けても恨みっこなし、なんて言わないからな」
二人はバチバチと視線をぶつけ合い、固い握手を交わす。
空龍学園~憧れのその先へ~
【メイン:美月 & 涼】
〇生徒会室前(夕方)
涼への差し入れを持って立ちすくむ美月。 そこへ、涼が出てくる。
涼「……また君か。今日は何の用?」
美月「あ、これ……差し入れです! 昨日の先輩、疲れてたから……」
涼「(袋を受け取り)……律儀だな。……少し、歩かないか? 駅まで」
美月「ええっ!? い、いいんですか!?」
憧れでしかなかった涼との、初めての帰り道。
美月の恋が「夢」から「現実」に変わり始める。
空龍学園~先輩の背中、遠い距離~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇部室(放課後)
蓮が引退試合に向けて猛練習している。その姿を、結菜は切ない目で見つめている。
結菜「(独白)蓮先輩、あんなに一生懸命で……。私、先輩のこと全然知らなかった」
休憩に入った蓮に、結菜がスポーツドリンクを差し出す。
結菜「あの、お疲れ様です! 蓮先輩、すごくかっこよかったです」
蓮「……お前、そんなこと言うようになったのか。前は颯太のことしか見てなかっただろ」 結菜「それは……。でも今は、先輩の背中が、すごく遠くに見えて……」
蓮が結菜の頭をポンと叩く。
蓮「遠くない。俺は、ずっとここにいるよ」
空龍学園~図書室の宣戦布告~
【メイン:湊 & ひまり & 美月】
〇図書室(放課後)
湊が席を外した隙に、ひまりと美月が向き合う。
美月「ねえ、ひまり。あんた、湊のこと好きなの?」
ひまり「えっ……あ、う、うん……」
美月「(少し寂しそうに笑って)……やっぱり。でもね、あいつの幼馴染の座は渡さないから。恋とか愛とか、そんな単純なものじゃないんだよ、私たちは」
そこへ湊が戻ってくる。
湊「……二人で何話してんだよ」
ひまり「なんでもない! ね、美月ちゃん」
美月「そう、秘密の話。……ね、湊。早く帰ろ?」
空龍学園~親友という名の鎖~
【メイン:大和 & 詩】
〇ゲームセンター(休日)
失恋のショックから立ち直ろうと、詩を連れ出した大和。
詩「あはは! 見て大和、このぬいぐるみ、先輩に似てない?」
大和「……まだそんなこと言ってんのか。いい加減、忘れろよ」
詩「無理だよ……。だって、私にとっては初恋だったんだもん」
詩が俯く。大和は思わず、詩を抱きしめそうになる手をぐっと堪える。
大和「(独白)……俺の初恋も、終わらせてくれないんだな。お前は」
大和は黙って詩の欲しがっていたぬいぐるみをクレーンゲームで取る。
空龍学園~三人のバランス~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇放課後のファーストフード店
いつも通り三人で勉強しているが、どこか空気が重い。
蒼「紬、これ、俺が教えたやり方の方が早いぞ」
律「いや、教科書通りにやった方がミスがない。紬、こっちを見ろ」
二人から同時にノートを差し出され、困る紬。
紬「えっと……二人とも、ありがとう。でも、競い合うのはやめて? 私は……三人のこの時間が、一番好きなの」
紬の寂しげな一言に、蒼と律は顔を見合わせ、毒気を抜かれる。
蒼「……悪い。……そうだな」
律「……ああ。お前を困らせるのが一番ダメだったな」
空龍学園~特別へのステップ~
【メイン:美月 & 涼】
〇夕暮れの公園
涼と並んで歩く美月。
涼「美月さ。君、いつも俺に緊張しすぎだろ」
美月「だって、涼先輩は王子様ですから! 汚しちゃいけないっていうか……」
涼「(ふっと笑って)王子様なんて、柄じゃないよ。俺だって、普通の男だ」
涼が美月の方を向き、彼女の髪に触れた花びらを取る。
涼「……これからは、先輩じゃなくて、名前で呼んでみたら?」
美月「え……!? 涼……さん……?」
美月の顔がリンゴのように真っ赤になる。
空龍学園~部長、最後の夏~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇グラウンド(夕暮れ)
大会直前、蓮が一人で居残り練習をしている。
結菜は黙ってドリンクを準備し、彼を待っている。
蓮「(肩で息をしながら)……まだ、帰ってなかったのか」
結菜「蓮先輩の、最後を見届けたいんです。……私、先輩の力になりたい」
蓮「……じゃあ、俺が勝ったら、ご褒美。くれるか?」
結菜「え……? 褒美、ですか?」
蓮「(真剣な目で)ああ。お前の『特別』になりたい。……本気だぞ」
結菜は、初めて蓮を「先輩」ではなく「一人の男」として意識し、動揺する。
空龍学園~隠しきれない独占欲~
【メイン:湊 & ひまり】
〇放課後の廊下
ひまりが他校の男子にナンパされている。そこを通りかかった湊。
湊「……おい。何してんだよ」
ひまり「あ、湊君! ……ううん、なんでもないの」
湊は無言でひまりの腕を掴み、男子を鋭い眼光で追い払う。
ひまり「(驚いて)あ、ありがとう……。でも、湊君、強引だよ」
湊「……見ててイライラしただけだ。……お前は、隙がありすぎる」
湊が去った後、ひまりは赤くなった腕と、それ以上に熱い顔を両手で覆う。
空龍学園~最高の相棒へ~
【メイン:大和 & 詩】
〇夜の公園
文化祭の準備で遅くなった帰り道。詩がぽつりと呟く。
詩「ねえ、大和。最近、私……失恋したこと、忘れちゃってる気がする」
大和「いいことじゃん。いつまでも引きずっててもしょうがねーだろ」
詩「……全部、大和が隣にいてくれたからかな。なんか、安心しちゃうんだよね」
大和「(切なそうに笑って)……そっか。光栄だわ、相棒」
大和は自分の想いを心の奥底に封印し、彼女の「一番の理解者」として生きる決意を固める。
空龍学園~三人の文化祭~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・出し物の準備中
文化祭の衣装作りをする三人。紬がミシンで指を怪我しそうになる。
蒼・律「「危ない!」」
二人の手が同時に紬の手を覆う。重なる三人の手。
蒼「……あーもう! お前、見てて危なっかしいんだよ!」
律「落ち着け。怪我したらどうする。……ほら、残りは俺たちがやる」
紬「ごめんね……。でも、二人と一緒だと、私、すごく安心するよ!」
その笑顔に蒼も律も「これ以上の関係を望んで、この空気を壊したくない」という想いがよぎる。
空龍学園~幼馴染の卒業~
【メイン:美月 & 湊 & 涼】
〇生徒会室の裏
美月が涼と親しげに話しているのを、湊が影で見ている。
そこへ、涼が去った後、湊が美月の前に現れる。
湊「……お前、本当にあの人のこと好きなんだな」
美月「あ、湊……。うん。私、もう『湊の隣』に甘えてるだけの子供じゃいたくないの」
湊「(少し寂しそうに)……そっか。美月、大人になったな」
美月「……今までありがとう。これからは、湊も自分の恋、ちゃんと向き合いなよ?」
幼馴染としての依存が終わり、二人はそれぞれの恋へと歩き出す。
空龍学園~崩れたバランス~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・教室(放課後)
文化祭当日。クラスの喧騒から離れ、三人が教室の隅に座っている。
蒼「……なあ、紬。俺、やっぱりお前が好きだ。友達のままじゃいられない」
律「(驚いて)蒼……。抜け駆けかよ。……紬、俺も同じ気持ちだ」
突然のダブル告白に、紬が俯く。
紬「……嬉しい、けど……。私がどちらかを選んだら、三人の『今』は終わっちゃうよね?」 紬の目から涙がこぼれる。二人はそれ以上、何も言えなくなる。
空龍学園~後輩の決意、先輩の焦り~
【メイン:結菜 & 颯太 & 蓮】
〇部室の廊下
結菜が意を決して颯太を呼び出す。それを見かけてしまった蓮。
結菜「颯太先輩! ずっと憧れてました……。でも、今の私は……」
颯太「……ごめん、結菜。俺、好きな人がいるんだ。ずっと前から」
結菜「……はい。分かってました。ちゃんと区切りをつけたかったんです」
泣きそうになる結菜。そこへ蓮が割って入り、結菜の腕を引く。
蓮「……もういいだろ。こいつの涙は、俺が拭く」
空龍学園~図書室の夕暮れ~
【メイン:湊 & ひまり】
〇図書室(閉館間際)
静まり返った室内。湊とひまりが二人きりで棚の整理をしている。
ひまり「湊君。私、ずっと湊君のこと……」
湊「……言わなくていい。……分かってるから」
湊がひまりの肩に手を置く。
湊「俺も、お前のことが気になって仕方なかった。……美月のことばっかり気にして、お前の気持ちを後回しにしてた」
ひまり「(驚いて目を見開く)え……?」
湊「……これからは、お前だけを見る。約束だ」
空龍学園~1-B、最後の強がり~
【メイン:大和 & 詩】
〇文化祭の夜(校庭)
後夜祭のキャンプファイヤーを見つめる二人。
詩「ねえ、大和。私、やっと前を向けそう」
大和「そっか。……良かったな」
詩「……だからさ、次は大和の番だよ。好きな人、いるんでしょ? 応援するよ!」
大和「(苦笑して)……バカ。本当、何もわかってねーな」
大和は詩の頭をくしゃくしゃにかき回す。
大和「……いいんだ。俺は、今のこの距離が一番気に入ってるから」
空龍学園~仮面の下の素顔~
【メイン:美月 & 涼】
〇屋上(夜)
後夜祭の喧騒を避けて涼が一人で空を見上げている。
そこへ美月が息を切らしてやってくる。
美月「涼さん……! ずっと探しました!」
涼「……おせっかいだって言っただろ。……でも、君が来ないと少し寂しいって、思ってる自分がいるんだ」
涼が美月を優しく抱き寄せる。
涼「……俺の隣、空けておいたよ。美月」
美月「(感極まって)……私、一生ついていきます……!」
空龍学園~引退、そして告白~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇グラウンド・ベンチ(夕暮れ)
最後の大会を終えた蓮。ユニフォーム姿のまま、迎えに来た結菜と向き合う。
蓮「……負けちまったな。不格好な先輩でごめん」
結菜「そんなことないです! 私、蓮先輩のあきらめない姿に……何度も救われました」
蓮「(結菜の手を握る)……ご褒美、まだもらってない。結菜、俺はお前が……世界で一番好きだ」
結菜「(涙を浮かべて)……私、やっと気づきました。私が本当に見てほしかったのは、先輩です」
空龍学園~幼馴染からのエール~
【メイン:湊 & 美月 & 颯太】
〇屋上(放課後)
湊とひまりが付き合い始めたことを知った美月。
美月「湊! おめでとう。ひまりちゃんのこと、泣かせたら承知しないからね」
湊「……ああ。お前も、あの王子様(涼)と上手くやれよ」
そこへ、失恋した颯太が通りかかる。
颯太「……ちっ、お前ら幸せそうだな。俺にもその運気、分けてくれよ」
美月「颯太にも、いい人見つかるって! ……空龍学園の恋は、まだ終わらないんだから」
空龍学園~三人の沈黙~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇2年H組・空っぽの教室
告白以来、気まずい空気が流れる三人。紬が二人を呼び出す。
紬「……蒼、律。私、ずっと考えてた。二人が大切すぎて、どちらかを選ぶ勇気が出ないの」 蒼「……責めてるわけじゃねーよ。ただ、嘘はつきたくなかった」
律「……俺もだ。でも、お前を泣かせるのが俺たちの目的じゃない」
紬「……わがままかもしれないけど。今はまだ、友達でいたい。二人が隣にいない未来なんて、考えられないから」
空龍学園~最高の相棒へ、宣誓~
【メイン:大和 & 詩】
〇学校の屋上(夕暮れ)
すっかり元気になった詩が、空に向かって叫ぶ。
詩「失恋記念日、終了ー! 明日からまた新しい私になるぞ!」
大和「(笑って)声デカすぎ。……でも、その方がお前らしいわ」
詩「ねえ、大和。私たち、おじいちゃんおばあちゃんになっても、こうして笑ってようね」 大和「……ああ。約束だ。世界で一番、お前の味方でいてやるよ」
大和は心の中で(……親友としてな)と付け加え、優しく彼女の隣で笑う。
空龍学園~予期せぬライバル~
【メイン:美月 & 涼】
〇3年生の教室(放課後)
涼に会いに来た美月。
しかし、涼が見知らぬ美女(他校の生徒)と親しげに話しているのを目撃してしまう。
美月「(ショックで足が止まる)……嘘。誰、あの人……」
涼は美月に気づき、すぐに駆け寄る。
涼「……美月。勘違いするな、あいつはただの従姉妹だ」
美月「……わ、わかってます! でも……先輩がモテるから、不安なんです!」
涼「(美月の額にデコピンをして)……俺が見てるのは、君だけだって言っただろ」
空龍学園~卒業式の足音~
【メイン:蓮 & 涼 & 結菜】
〇廊下(放課後)
3年生の卒業が目前に迫り、校内にはどこか寂しい空気が漂う。
結菜「蓮先輩……卒業しちゃうの、寂しいです。まだ教えてほしいこと、たくさんあったのに」
蓮「卒業しても、俺はお前の先輩だ。……それと、これからは部活以外でも呼び出していいんだぞ」
そこを通りかかった涼が、ふっと微笑む。
涼「蓮、未練がましいぞ。……ま、俺も美月を置いていくのは、少しだけ心残りだけどな」 学校を去る者と、残る者の想いが交錯する。
第42話:空龍学園~2-D、それぞれの決意~
【メイン:湊 & ひまり & 颯太】
〇2年D組・教室(放課後)
湊とひまりが仲良く帰る準備をしている横で、颯太が窓の外を眺めている。
ひまり「颯太、最近元気ないね。……あ、もしかして、私たちが付き合ってるから気まずい?」 颯太「……バカ、自意識過剰だよ。俺はただ、次の春に新しい風が吹くのを待ってるだけだ」 湊「(颯太の肩を叩き)……颯太。お前なら、もっといい奴に出会える。俺が保証するよ」 颯太「……へっ、幸せ者が言うと説得力ねーよ」
颯太は強がりながらも、二人の幸せを心から祝福していた。
空龍学園~親友以上恋人未満~
【メイン:大和 & 詩】
〇帰り道の踏切
遮断機が下りる中、大和と詩が並んで立っている。
詩「ねえ、大和。私たち、来年はいよいよ2年生だね。後輩ができたら、私たちも『先輩』らしくなれるかな?」
大和「……お前は今のままの『ドジな詩』でいいんじゃねーの。俺がフォローしてやるし」 詩「……(少し真面目な顔で)大和ってさ、たまにすごくかっこいいこと言うよね。ずるいな」
大和「(照れて顔を逸らす)……うるせー。ほら、開いたぞ。行くぞ」
二人の距離は、今のままで、何よりも尊いものになっていた。
空龍学園~三人の均衡(バランス)~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇屋上(放課後)
蒼と律が、紬を真ん中にして青空を見上げている。
蒼「……結局、答えは出なかったけどさ。俺、お前らといるこの時間が嫌いじゃないんだわ」 律「同感だ。……恋とか愛とかで、この空気を壊すのはもったいないって、今は思ってる」 紬「二人とも……ありがとう。私、本当に幸せ者だね」
紬が二人の手をそっと握る。
紬「いつか、誰かを心から選ぶ日が来ても……この三人の絆は、一生宝物だよ」
空龍学園~最後の一日~
【メイン:全員】
〇空龍学園・全景(朝)
ついに迎えた卒業式当日。 蓮と涼は、誇らしげに、そして少し寂しげに校門をくぐる。
それを出迎える結菜、湊、ひまり、美月、颯太……。
颯太「……ったく。今日でこのうるさい先輩たちともおさらばかよ」
蓮「(颯太の首を腕で抱え込み)何言ってんだ。明日からはお前が部活を支えるんだぞ、颯太」
泣き笑いの朝。空龍学園の長い一日の幕が開く。
空龍学園~卒業証書に託す想い~
【メイン:美月 & 涼】
〇体育館裏(式典後)
卒業証書を手にした涼を、美月が呼び止める。
美月「涼さん……本当におめでとうございます!」
涼「ありがとう。……美月、君に出会えて、俺の高校生活は完璧になったよ」
涼は自分の制服の「第二ボタン」を外し、美月の手のひらにそっと乗せる。
美月「これ……いいんですか?」
涼「……俺の心の鍵だと思って、持っててくれ」
美月はボタンを握りしめ、涙を堪えて満面の笑みを浮かべる。
空龍学園~王子様の約束~
【メイン:美月 & 涼】
〇駅のホーム
卒業後の進路が決まった涼。美月が見送りに来ている。
美月「涼さん……。大学に行っても、私のこと、忘れないでくださいね」
涼「忘れるわけないだろ。……美月。君が3年生を終えて、卒業する時、俺が迎えに来る」 涼が美月の小指に、自分の小指を絡める。
涼「これは、ただの憧れじゃない。……本気の約束だ」
美月「……はい! 私、世界一幸せな後輩になります!」
空龍学園~親友という名のゴール~
【メイン:大和 & 詩】
〇誰もいない1年B組・教室
片付けが終わった教室。大和と詩が向かい合って座っている。
詩「ねえ、大和。私たち、結局付き合わなかったね」
大和「……おいおい、今更かよ」
詩「でもね、私、今が一番幸せ。大和以上の理解者なんて、この世にいないもん」
大和「(照れ隠しに立ち上がり)当たり前だろ。……俺とお前は、一生モンだ。来年も、再来年も、ずっと隣にいてやるよ」
二人は拳をコツンと合わせ、恋を超えた「最強の絆」を誓う。
空龍学園~三人のこれから~
【メイン:紬 & 蒼 & 律】
〇屋上(夕暮れ)
沈みゆく太陽を三人で眺めている。
蒼「……なあ。俺たち、3年になっても、このままでいいのか?」
律「いいんじゃないか。無理に白黒つけるのが全てじゃない。……俺は、この関係を守りたい」
紬「二人とも……大好きだよ。いつか、誰かを本当に選べるようになるまで、もう少しだけ、こうしていさせて」
蒼と律はため息をつきながらも、紬の左右に並び、肩を並べる。
答えを出さないという、彼らなりの「答え」。
空龍学園≪最終話(50話)≫~未来へのチャイム~
【メイン:蓮 & 結菜】
〇校門前(夕暮れ)
学校を去る蓮と、それを見送る結菜。
蓮「……じゃあな、結菜。次は、校門の外で会おう」
結菜「はい! 蓮先輩……次は私、もっと素敵な彼女になって会いに行きます!」
蓮が振り返り、結菜のおでこにキスをして、優しく抱きしめる。
その背景では、湊とひまりが手を繋いで歩き、大和と詩がふざけ合い、美月が涼の背中に大きく手を振っている。
(チャイムの音)
蓮「行こうか」
結菜「はい!」
二人は前を向き、それぞれの未来へと歩き出す。
空には龍のような雲が流れていた。