わたしは悪役令嬢になった転生一度目、婚約破棄され、処断された。転生二度目、浮気され心も体も壊れた。相手側は自分が間違っていたと後で思う。でも間に合わない。転生三度目は、素敵な王太子殿下に溺愛されます。

第四十九話 わたしは義理の妹を応援する

 わたしの妹オディナティーヌと、ルシャール殿下の婚約が成立した。

 ボードリックス公爵家は祝福ムードに包まれた。

 お父様も喜んでいたが、継母はものすごく喜んでいた。

 「オディナティーヌがルシャール殿下の婚約者になれて、これほどうれしいことはないわ」

 継母は、わたしの前では、より一層その喜びを表現していた。

 そして、

 「あなたが婚約者にならなくてよかった。あなたとオディナティーヌでは、オディナティーヌの方がはるかに素敵な女性ですからね。リディテーヌも恥をかくことがなくて良かったと思っているの。あなたの母親としてうれしい限りだわ」

 と言って、高笑いをする。

 嫌味だ。

 「わたしはオディナティーヌと比べても、決して劣っていないと思っています。でも婚約者の座を譲ったのです。そのことはきちんと認識してください」

 このように継母には言いたかった。

 しかし、それを言ったら、今までと同じく言い争いになるだけだ。

 もうわたしはそういうことはしないと心に決めている。

 わたしは生まれ変わったのだ。

 我慢するしかない。

 オディナティーヌは、わたしの前では遠慮気味。

 でも、心の中は喜び一杯のようだった。

 わたしは少し複雑な気分だ。

 もちろんわたしも、ルシャール殿下と婚約したことへの祝意は継母とオディナティーヌに伝えた。

 そしてこれでルシャール殿下がわたしに対して、婚約を破棄することも処断することもなくなった。

 それについては一安心しているところ。

 しかし、もともとルシャール殿下は、オクタヴィノール殿下ほどではないにしても、わたしが「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のゲームの中で、好きだったキャラクター。

 わたしがリディテーヌという悪役令嬢ではなくオディナティーヌという主人公として転生していれば、ルシャール殿下との婚約、そして、結婚を選択するにしても、普通に接することはできたと思う。

 話をすることすらなるべく避けたいと思うことはなかっただろう。

 イケメン、そして、文武両道で、素敵な方であることには違いはないからだ。

 また、心の底では、オディナティーヌに嫉妬してしまう部分はどうしてもある。

 転生一度目の記憶では、ルシャール殿下とわたしが婚約してから、あの舞踏会までは、

 「きみは今日も美しい。これほどの美しい女性は、この王国のどこを探してもいないだろう」

 といった甘い言葉をかけてもらっていたからだ。

 今思い出しても、心が甘くなってくる。

 オディナティーヌは、既にルシャール殿下からそういう言葉をかけてもらっていた。

 「ルシャール殿下は、わたしのことを、この王国の中で一番美しい女性だとおっしゃっています」

 とオディナティーヌはわたしに対して恥ずかしそうに言ってきたことがあった。

 きっと、オディナティーヌもその言葉を言われた時、心が甘くなったことだろう。

 幸せ一杯というところだ。

 本人としては、わたしに対して自慢しているつもりではないと思う。

 いや、少しは自慢しているのかもしれない。

 わたしはその言葉を聞いて、どうしても嫉妬心を抑えることはできなかった。

 「婚約者の座を譲らない方が良かったのでは?」

 「婚約者になっても、婚約破棄や処断を防ぐ方策はあったのでは?」

 そういう気持ちが湧き上がってくる。

 オディナティーヌからその話を聞いた夜は、思い悩まざるをえなかった。

 しかし、もう決断したことだ。

 今さら悩んでも仕方がないこと。

 わたしは心を切り替えることにして、オディナティーヌがルシャール殿下と幸せになることを応援することにした。
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