鯨のうた
Story.5
11月に入り、社員旅行当日になった。
しかし、もちろんわたしは不参加だ。
航の誘いを断り、わたしは今日約束通りに雨龍課長のお宅にお邪魔する事になっている。
事前に連絡先を交換してあるのだが、わたしは今の会社に入社して初めて社員の人と連絡先を教え合った。
わたしは待ち合わせ場所に行く前に手土産にケーキ屋に立ち寄った。
(雨龍課長は、甘いもの食べれるかな?)
そう思いながらも、わたしはそのお店でオススメされていた苺タルトを2つ購入したのだった。
待ち合わせ場所はわたしの家側の最寄り駅付近。
16時に駅近のコンビニでわたしは待っていた。
すると、待ち合わせ時間の5分前に雨龍課長からメッセージが届いた。
『そろそろ着くけど、どこにいる?』
滅多に鳴ることがないわたしのスマートフォンにメッセージが届く。
それだけでもドキドキしてしまった。
わたしは『2番出口横にあるローソンにいます』と返信した。
それから少し待つと、コンビニの駐車場に一台の黒い車が入って来た。
(もしかして、あの車かな?)
そう思いながら見ていると、黒い車は駐車場に停まり、そして運転席から私服の雨龍課長が姿を現した。
ジップパーカーに中から白いシャツがサラッと顔を覗かせており、下は長い足が際立つ細身のカーキのズボンだ。
雨龍課長はスーツ姿しか見たことがなかった為、私服は新鮮で妙に緊張してしまう。
わたしはドキドキしながらコンビニを出て、雨龍課長の元へ歩み寄って行った。