最後まで読まないで

古い硬貨

お釣りでもらった百円玉の中に、一枚だけ黒ずんだ古い硬貨が混ざっていた。よく見ると、製造年が「昭和百年」と刻印されている。存在しない年号だ。珍しいのでお守り代わりに財布の奥にしまっておいた。その日から、私の周りで奇妙なことが起き始めた。すれ違う人の顔がのっぺらぼうに見えたり、空が紫色に見えたりするのだ。あわてて硬貨を手放そうとしたが、財布の中にそれはもう無かった。
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