この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「結論から申し上げますと――」

 日高は一歩だけ距離を詰め、声のトーンを落とした。

 「副社長のお母様から、あなたをお守りするために参りました」
 「……守る?」

 思わず聞き返す。

 「はい。すでに一度、お会いになっているかと思いますが、あの方は一度『認めない』と決めた相手には、かなり徹底されます」

 静かな視線に射貫かれ、背筋がぞくりとした。思い出したくもない圧が蘇る。

 「やっぱり、そうなんですね」
 「ええ。ですから、このまま正面から向き合うのは得策ではありません」
 「では、どうすれば……」

 自然と問いがこぼれる。
 日高はわずかに微笑んだ。

 「方法はあります。あなたの立場を整えることです」
 「立場を整える……?」
 「東城家が問題視しているのは、あなた個人ではありません。環境、経歴、背景など、いわゆる〝釣り合い〟です」

 言葉は穏やかなのに刃のように正確で、帆奈美の胸にちくりと刺さる。
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