この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「と、とにかく、すぐにお昼にするので座っててください」

 あたふたしながら、キッチンに準備しておいた品々を部屋のテーブルに続々と運んでいく。テーブルの上に並べたのは、カセットコンロとたこ焼きプレートである。生地とタコはもちろん、紅ショウガや天かす、ネギなどの定番からチーズやたらこなどの変わり種も用意した。

 「これ、やったことありますか?」

 帆奈美が振り返ると、宏臣は興味深そうにそれを覗き込んでいた。

 「ない。店で食べるものだと思ってた」
 「今日はここで作ります」

 ふふっと笑いながら、生地の入ったボウルを持ち上げる。

 「ちゃんと丸くできるか見ててくださいね」
 「いや、それは俺もやるんだろ?」
 「え?」
 「おもしろそうじゃないか。俺にもやらせてくれ」

 宏臣が目を輝かせる。

 「ちょっと難しいですよ?」
 「俄然やる気が沸いてくる」

 そんな楽しそうにお願いされたら拒絶などできない。軽いレクチャーのあと、宏臣がプレートに生地を流し込み、具材を入れていく。
 その手つきがあまりにもぎこちなくて、つい笑ってしまった。
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