この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 そのまま椅子を引き寄せ、さっと数か所を修正していく。

 「この流れなら、話しながら補足すれば通ると思うよ」
 「助かります……!」

 ほっとしたような声に軽く頷いて立ち上がった直後。

 「立原さん、すみません! さっきの件なんですけど――」

 またべつの声がかかった。
 振り返れば、今度は営業チームの男性社員が書類を片手に困った顔をしている。
 帆奈美は一瞬だけ呼吸を整えてから、すぐにそちらへ向かった。

 「どうしました?」
 「この見積もり、クライアントの要望だとちょっと予算オーバーで……。どこ削るのがいいと思います?」
 「うーん……」

 書類を受け取り、ざっと目を通す。頭の中で条件と優先順位を整理して、すぐに答えを出した。

 「ここは削らないほうがいい。代わりにこのオプションを一旦外して、代替案を出そう。納得してもらえると思う」
 「なるほど……! ありがとうございます!」

 またひとつ問題が解決する。けれど休む間もなく、今度は内線が鳴った。
< 66 / 172 >

この作品をシェア

pagetop