この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「わかった。私が対応する」

 短く言ってデスクの端に置いてある電話の受話器を取った。
 これはチームで共有して動くべき案件だ。それくらい今回の案件は大きい。
 けれど、ほかのみんなも仕事で手いっぱい。

 (私がやらなくちゃ)

 この案件は、もともと帆奈美が主導していた。途中で方針を切り替えたのも、自分の判断だ。
 だからこそ最後まで自分でなんとかしなければ。

 「お世話になっております、立原です。先ほどの件ですが――」

 丁寧に冷静に。相手の温度を見極めながら言葉を選んだが。

 《だから、それが違うって言ってるんですよ》

 低く抑えた声の奥に苛立ちが滲んでいた。

 《そちらの提案、当初の方向性とズレてますよね? こちらとしては、正直このまま進めるのは難しい》

 ぐっと喉の奥が詰まる。

 「ご指摘の点については認識しております。そのうえで、今回の修正案は――」
 《認識してるなら、なぜこの案になるんですか》

 言葉を遮られた。

 《数字も根拠も、納得できるレベルじゃない》
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