婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
「リオっ!!!!」
隣で慌てる兄上の声が聞こえる中、リオはびびっているのかさらに俺たちの手を強く握りしめたまま、最悪なことに前のめりに転んでいく。
こ、こいつぅぅぅ!!!!!
次の瞬間……
───ドボーンッ!!!!!
思いっきりリオに道ずれにされると、三人で水溜まりにダイブして泥があちこちに飛び散り泥まみれになった……。
「……げほっ!!うえっ!!最悪だ!」
口の中に少しだけ泥が入ってペッペッとしながら文句を垂れる。
周囲を見渡すと視界は真っ黒で体もドロドロだ……。
まじで…ほんとに……リオのやつ!!!
すると……こんな状況だと言うのに、隣から笑い声が聞こえきた。
「あはははっ!!二人とも顔やばいですよっ!!!」
そう言って笑うリオもかなりやばい。
「お前のせいだろーがっ!!!」
文句を言う俺にケラケラと笑うリオは、本気で楽しそうに笑っていた。
いつも通りあまりにもキラキラと楽しそうに笑うこいつを見てると、こっちもなんだか馬鹿らしくなってきた。
「ほんっと……ばかすぎ……ふはっ」
笑いながら兄上をちらっと見ると
いつも完璧な兄上まで、リオには敵わないのか綺麗な服も顔もかなりドロドロだった。
兄上もこいつには振り回されるんだな……
そう思ったら、なんだかさらにおかしくなってきた俺は、気がつけば「あははっ」と声を出して笑ってしまった。
やっぱり俺はリオが大好きだっ!兄上の婚約者はこいつじゃなきゃだめだっ!!
笑ったあと再び兄上を見ると、兄上は優しい顔でリオの笑顔を見つめていて
「ふっ……本当に、とんでもないやつだな」
と、呆れたように……、だけどどこか愛おしそうにリオを見ていた。
…………気のせいか?