婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
玄関に向かうといつも通り、圧倒的なオーラを纏うギル様が歩いているのが見えた。
神々しいなぁ!!かっこいい〜っ!!
驚かせちゃおっかなぁ〜!!
なんて、思いながら後ろから、体当たりだー!とギル様に一直線に走っていく。
「ギル様ぁぁ!!!おかえ……え?」
嬉しくて駆け寄った、その時だった……
ふわっとギル様からにおうのは、どこか上品な女性らしい香りだった。
いつものギル様を纏う安心するような心地のいい大好きな匂いじゃない……。
……女の匂い……っ!!!!
その瞬間、るんるんだった気持ちが、一瞬で急降下していく。
ねぇ……どんだけ近くにいれば女の匂いなんてつくわけ……?!?!?
その匂いについて考えれば考えるほど、ムカムカとしてきた私は、自分が今男装執事姿で「リオ」だと言うことも吹き飛んで、ふるふると体が震え出す。
「……ギル様……」
「あぁリオか、どうした?」
私の声に気づいたギル様が私に振り返る。
私は怒りと嫉妬で震えながらギル様に近づくと、女の匂いを放つ上着に手をかけた。