婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】

EP:30☆俺と一緒に逃げようよ!



私は馬車が停めてある場所まで走ると、馬車の影に隠れてその場に泣き崩れた。



どうしようもないほどの涙が、次から次へと溢れてきて両手で顔を覆った。


嗚咽がこぼれて止まらなかった。



もうあんな二人見たくないよ……っ



胸が張り裂けそうだった。



すると……


「……はぁ、はぁ……リオ」



息を切らす聞きなれた優しい声が頭上から降ってくる。

だけれど、今の私は涙がとまらなくて顔をあげることなんてできなかった。



アル様は息を整えるとゆっくりと私の前にしゃがみこむと、切なそうな声で私に声をかける。



「……そんなに、辛かった……?」



私は時たま嗚咽をこぼしながら、顔を覆ったままこくこくと頷いた。



次の瞬間、アル様は大きな腕で私を力強く抱きしめた。



「……だから、俺にしとけばって言ったじゃん……」



耳元で聞こえる小さなアル様の呟き。

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