婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
そして……
「ギル様っ!!!おかえりなさいっ!!」
「……おわっ?!」
芝生におろされた瞬間、嬉しさで興奮している私は、全力でギル様の胸に飛びついた。
その勢いのまま、ギル様を芝生の上へと押し倒す。
ふんわりとピンクの髪の毛を揺らしながら、ギル様を見下ろす。
ギル様は私の下で、綺麗な青い瞳を丸くして驚いていた。
だけれど、私は嬉しくて嬉しくて、にっこりと笑顔を咲かせる。
「ギル様っ!!会いたかったですっ!!だいすきですっ!!」
そう叫んで、ギル様の首にぎゅーっ!!!と腕を回して抱きついた。
そんな私を下から抱きしめ返すギル様は、くすくすと幸せそうに笑っていた。
「帰って早々、窓から落ちてくるは……俺を芝生に押し倒すは……そんな令嬢はお前ぐらいだなリリィ……くくっ……ほんと、お前には敵わないな」
そう言って笑うギル様は、私の頭を優しく撫でると、ゆっくりと私を落とさないように起き上がった。
「リリィ……相変わらずだね?本当見てて飽きないなぁ」
くすくすと笑って近寄ってきたのはギル様と一緒に帰ってきたアル様だった。
「……えへへ……久しぶりすぎて興奮しちゃいました……」
アル様に見られてたことに少し照れて笑っていると
「兄上ーっ!!!!」
お屋敷の方から、慌てて走ってくるレオ様、そして私を見るなり呆れた顔をする。
「……なにやってるんだよ、リリィ……
……じゃなくて、そんな事より兄上!!」
ギル様に、一通の手紙を差し出した。
「帰ってきて早々なんだけど……国王様から手紙が……!!!」
「……国王陛下から?」
ギル様は私を膝にかかえた体制のまま、眉をひそめて手紙を受け取る。
そして、丁寧に手紙を開いたギル様の視線が手紙に落ちると……
鋭く険しい顔に変わる。
──この一通の国王様からの手紙が、私たちの新たな大騒動の幕開けになる……。