婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
私は立ち尽くしたまま、その光景を見ていることしかできませんでした。
驚きすぎていつの間にか、じっと見てしまっていたせいで、ぶら下がってた彼女と目が合ってしまいました。
「…ひえっ…!」
「あれれ?お客さん?えへへっ!ビックリさせちゃったかなぁ〜?ごめんなさいっ」
そう言って、腰紐を外すとコロンと芝生に転がっていき、この子が今回のお嬢様だとすぐに分かりましたが、まったく侯爵令嬢には見えませんでした……。
「腰紐外した後の着地だけは難しいんだよね〜!!」
豪華なドレスに草と泥をつけ、汚れたドレスに負けないぐらいの満面の笑みで笑う彼女は、とてもキラキラとしていました。
あまりにも可愛いらしいその彼女の笑顔は、周りが甘くなってしまうのもわかる気がするほど、とてもまばゆかったのです。
私ものちに、彼女の行動にどんなに振り回されても、憎めないほどに可愛らしい不思議な魅力のある彼女に、結局怒りながらもどうしても甘くなってしまうメイドの一人になってしまいます。
───これが私と当時幼かったロゼッタ侯爵家の長女リリィ様との出会いでした。