婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
その聞き覚えのある声に、どうか間違えであってくれと願いながら、さっきよりも震える手をどうにかおさえつつ執務室の扉を開く。
するとそこには、大量の書類に目を通すサラサラな黒髪とその髪の毛の隙間から覗く綺麗な青色の瞳……。
この恐ろしいほどに整った顔は……
ギル・レイヴン……!!!!!
バレてしまうんじゃないかと、震え上がる私はできるだけ声を低くして挨拶をする。
「し、新人執事のリオと申します!」
すると下を向いていたギル様が顔をあげると、目を見開き固まった。
え……何その反応……。
……バレてる……?
そ、そんなわけないよね……?
ギル様の反応にヒヤヒヤしたけれど、私は完璧な男姿だということを思い出す。
自信を持って前を見据えればいいんだ!!
謎の自信があふれてきた私は、負けないようにギル様の目を見つめ返すのだった。