今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「僕は今、〝誰かの暮らしをよくしたい〟と一緒に考えられる人として、春日さんを選んでいます」
それは、声を張り上げるわけでもなく、
ただまっすぐに言葉として投げられた。
「……はい」
うまく返事ができずにいると、
ショールームの入り口近くで、
さっきの女性参加者がこっそりこちらを振り返る。
「あー、なんかいい感じじゃない、あの二人」
小さなひそひそ声が聞こえた。
否定する暇もなく、
わたしは自分でも驚くほど自然に、
笑ってしまった。
——〝カップル〟かどうかは、
まだこれからだけど。
——〝隣にいる相手として選ばれている〟ことだけは、信じていいのかもしれない。
ショールームの灯りが一段階落ち、
『今日はここまでライト』だけが、
やわらかく光っている。
「……今日は、ここまでにしましょうか」
快浬さんの言葉に、わたしはうなずいた。
「はい。今日は、ここまでで」
第二回料理教室の夜。
ライトの小さな光と、
まだ名前のついていない関係性だけが、
静かにそこに残っていた。