今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「〝坊ちゃんプロジェクト〟と揶揄されてきたこの企画が、数字の上でも会社に貢献できたことを、誇りに思います」
その言葉に、誰も茶々を入れなかった。
商品企画部長が、手を叩く。
「いいか、ここは素直に喜ぼう。暁は、〝無理をしないで、一人じゃない〟という、少し変わった切り口で勝負して、二度も勝ったんだ」
拍手が広がる。
開発フロアにも、その報告がすぐに伝わった。
「春日さん」
会議が終わったあと、
廊下で快浬さんが呼び止める。
「はい」
「〝ここまでライト〟から始まった企画で、ここまで来ることができました」
「〝ここまで〟が、遠かったですね」
思わず、そう返してしまう。
「ええ。ですが――」
快浬さんは、少しだけ笑った。
「ここから先は、〝今日はここまで〟ではなく、〝ここから〟の戦いです。一緒に戦い抜きましょう」
それは、
まだ見ぬ次の嵐をも見据えた言葉だった。
わたしは、
ショールームの『Calma』展示コーナーを思い出す。
シンクの上で、
今日も誰かの〝一日の終わり〟を、
小さな光がそっと見守っている。
——このキッチンを選んでくれた人たちに、
〝選んでよかった〟って、
ずっと思ってもらえますように。
〝シェア一位〟という結果は、ひとつの通過点に過ぎない。
それでも――
あの日、笑われ続けた企画が、
ちゃんとたどり着いた場所として。
今だけは、胸を張ってもいい気がした。