今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
最終章 君と作る未来
都内の大型スタジオ。
天井の高い空間に、
白いセットが組まれていた。
キッチンが一つ。
ダイニングテーブルが一つ。
その周りに、
ライトとカメラ、スタッフの列。
ほどなくして、
今日の主役であるサッカー選手夫妻がスタジオ入りした。
画面で見るよりも、
どこか柔らかい雰囲気の二人。
「今日はお願いします」
「おはようございます。暁キッチンの久遠快浬です。今日はよろしくお願いします」
快浬さんが軽く頭を下げると、
スタッフたちから『あ、CMの人だ』『本物だ』と小さなささやきが起きた。
その横で、わたしもぺこりと会釈する。
「企画の春日です。よろしくお願いします」
「キッチンのこと、いろいろ教えてください」
挨拶を交わすと、
自然と四人でキッチンセットの前に立つ形になった。
「まず、ライトの仕組みからご説明しますね」
快浬さんがいつもの〝開発本部長モード〟に切り替わる。
「〝今日はここまでライト〟は、ある程度洗い物が溜まった時に、〝無理しないで〟と自動で水洗いを行う機能が搭載されています」
「へえ、いいですね、それ」
選手の妻が、興味深そうにライトを見上げる。
「うち、ふたりとも仕事してるんですけど、つい〝無理〟しちゃって、気づくと夜中なんですよね」
「分かります」
思わず、わたしが強くうなずく。
「〝やらなきゃいけないこと〟は、見ようと思えばいくらでも見つかっちゃうので」
「そうなんですよ。だから、〝無理しなくていいよ〟って、誰かに言ってほしくて」
「そこでライトの出番です」
快浬さんが、柔らかく言葉をつなぐ。