今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜


スタジオを出て、
夕方の光の中に並んで歩く帰り道。



「……全部、言っちゃいましたね」



わたしが、半分呆れたように言う。



「隠す理由も、あまりありませんから」



快浬さんは、いつもの少し照れた笑い方で。



「〝今は恋人です〟って、よくあんなサラッと言えましたね」



「事実ですから」



「そうですけど……」



 言いながら、自分でも頬が緩んでいくのを止められない。



「でも」



ふと、わたしは思い出したように足を止めた。



「〝今は違います〟って、さっき言いましたよね」



「言いましたね」



「〝今は〟って、けっこうズルい言葉じゃないですか」
「そうでしょうか」



「だって、〝いつかは〟って聞こえます」



「聞こえますか」



「聞こえます」



快浬さんは、少しだけ空を見上げてから、
わたしのほうを向いた。



「では、その〝いつかは〟が、あまり遠すぎない未来になるように」



まるで、
次のプロジェクトのスケジュールを組むみたいに。



「ちゃんと、プランを考えておきます」



「また〝プラン〟なんですね」



「僕は、プランを立てるのが仕事ですから」



ふたりの笑い声が、
夕方の街に溶けていく。

今日の撮影で、
公式には何も変わっていない。

でも、〝夫婦感ありますよね〟と言われて、
もう完全には否定しきれなくなった何かが、
確かにふたりの間に生まれていた。
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