今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「今日はありがとうございました」
出口へ向かう途中、サッカー選手夫妻が、
改めて挨拶に来てくれた。
「こちらこそ、お忙しい中ありがとうございました」
快浬さんとわたしも、頭を下げる。
「最後に、ひとつだけ聞いてもいいですか」
妻が、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「本当に、夫婦じゃないんですか」
さっきと同じ問い。
でも、今度は少し意味が違う。
「今は、違います。でも、いつかそうなれたら——」
快浬さんが、はっきりと言う。
「今は?」
「はい」
迷いのない声。
「仕事のパートナーで、今は、恋人です」
さらりと明かされて、わたしは思わず咳き込みそうになる。
「ちょっ――」
「やっぱり!」
妻が、手を叩く。
「だから、あの〝夫婦感〟だったんだ」
水戸選手も、納得したようにうなずく。
「でもね」
妻が、まっすぐにふたりを見る。
「さっきのキッチンの後ろ姿、めちゃくちゃ素敵でしたよ」
「〝二人で作ったものを、二人で見守ってる人たち〟って感じで」
その言葉に、
わたしの胸の奥がじんと熱くなる。
「ありがとうございます」
快浬さんが、静かに頭を下げた。
「〝夫婦になったら、また呼んでくださいね〟」
帰り際に、妻がウインクを飛ばす。
「そのときは、〝開発者夫婦のリアル家事分担編〟撮りましょう」
「そのタイトル、今から社内で検討しておきます」
快浬さんが、冗談めかして返す。
「ちゃんと、〝ありがとう〟って言い合うシーン、入れてくださいね」
「もちろんです」
短いやりとり。
でもそれは、
いつかの未来への小さな約束のようにも聞こえた。