今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

二つ目のゾーン、
〝単身者用コンパクトキッチン〟。

幅一メートル五十センチの中に、
IHとシンクと小さな作業台。

でも、引き出しを開けると、
調味料が倒れないように仕切られたラックや、
まな板専用の〝待機エリア〟がしっかり作り込まれている。



「ここ、まな板を立てる溝があるんだ……」



「〝料理中にちょっとどかしたい〟ってときに、置き場に困らないように」



プランナーの説明を聞きながら、
わたしは自分の大学生時代に住んでいたキッチンを思い出す。


——この〝ちょっと置ける場所〟がなかったから、
毎日ごちゃっとしてたんだんよね。


ショールームの『見て・触れて・試して』の仕掛けは、
ユーザーがミスマッチを防ぐためだけでなく、
企画側にも〝暮らしの違和感〟を肌で教えてくれる。

見学の最後、
ショールーム奥の打ち合わせスペースで、
実際の顧客との商談風景をガラス越しに眺める。

年配のご夫婦が、
キッチンの高さを試しながらプランナーと話している。



「ここ、少し低めなんですね」



わたしのつぶやきに、快浬さんが頷く。



「腰への負担を考えると、少し低めが楽な方も多い。でも、収納量を優先したいときは、逆に高くすることもあります」



プランナーが、サンプルの扉を見せながら、
『汚れの目立ちにくさ』『手触り』『光の反射』の違いを説明している。


——〝写真だけでは分からない細部を確認してもらう〟って、
ショールームの紹介記事にも書いてあったけど、
こうやって実際に触れて決めていくんだ。


わたしは、ガラス越しの会話をメモする。



『毎日見る場所だから、〝落ち着く色〟にしたい』



『同じ材質でも、手触りがこんなに違うなんて』



そういった、
カタログのスペックには載らない言葉たち。

工場で見た汗と音。

ショールームで見た光と会話。

あのどちらか一方だけでは、
キッチンは完成しない。


――だからこそ、
この二つを行き来できる場所に、自分は今いる。

そう実感できた一日だった。
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