今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「では、〝一日の終わりの台所〟についても、教えていただけますか」
快浬さんが、さりげなく本題に近づけていく。
「シンクの中が空っぽになった時、〝ああ、終わった〟って思いますね」
「食洗機を回し終わって、ピーピー鳴ったあと、ドア開けて〝ふーっ〟って」
「逆に、終わらないまま寝ちゃった日の翌朝は?」
「地獄ですね。シンク見た瞬間、〝昨日の自分、なんでここでやめたの〟って怒りがわきます」
笑いながらも、言葉は本音だ。
美桜さんも、真剣な顔でうなずく。
「〝今日の自分を許せるライン〟って、人によって違うと思うんです。たとえば、グラス一個だけ残ってても平気な人もいれば、シンクが濡れてるのも嫌な人もいるし」
「ありますね、それ」
「春日さんは、どう?」
快浬さんに急に振られて、わたしは少し驚いた。
「わ、私ですか?」
「うん。企画の人がどんな〝終わりのライン〟持ってるか、気になる」
参加者も興味深そうにこちらを見ている。
「えっと……私は、まな板と包丁だけでも片づいてたら、〝今日の自分はまあ合格〟って思えます。最近は帰るのが遅いので」
「いいですね、〝まあ合格〟」
奥さんが笑う。
「本当は全部片づけたいんですけど、そこまで行けなくても、〝明日困らない程度で〟終われたらOKって、最近は思うようにしてて」
言いながら、自分でもその言葉に少し驚いた。
いつのまにか、
そんなふうに自分を許すルールを作っていたのだ。
「〝明日困らない程度〟って、すごくいいですね」
美桜さんが、目を輝かせる。
「今日のテーマ、〝終わりの自信〝って言葉にぴったりかも」
その言葉をきっかけに、
参加者の夫婦も、
それぞれの〝合格ライン〟を語り出した。