今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「でも、そのときのこと、本人はまだちょっとトラウマなんだと思う」
「トラウマ……」
「〝自分の理想を押しつけたら、暮らしから浮く〟っていう怖さ。それがあるから、今みたいにやたら〝ユーザーインタビュー〟とか言い出してる」
さっきのインタビューでの、
快浬さんの丁寧な質問の仕方が、
急に違う意味を帯びて見えてくる。
——ただの〝優秀な本部長〟じゃなくて、
失敗して、怒られて、
それでもまた戻ってきた人なんだ。
家族だからこそ知っている顔。
「快浬、小さい頃からそういうとこあるんだよね」
美桜さんは、どこか懐かしそうに笑う。
「最初はすごく理屈っぽくて、〝こうあるべき〟って考えるタイプなんだけど、誰かの泣き顔とかしんどそうな顔を見ると、一気にそっちに引っぱられちゃう」
「……想像できます」
「母さんが体調崩したときなんか、〝父さんの仕事のせいだ〟って本気で怒って、家出しようとしてたくらい」
「家出、ですか」
「三駅先まで行って、『やっぱり明日からにする』って帰ってきたけどね」
二人で笑い合う。
「だから、〝暮らしを楽にするためのキッチン〟って言葉には、本気でこだわってるはず」
美桜さんは、
ショールームのキッチン全体を見渡した。