今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「ち、違……」
いつものように〝違います〟と言いかけて、
喉の奥で言葉が止まる。
駅前で感じた胸の痛み。
工場で図面を見つめる横顔に、
目が離せなかったこと。
さっきのインタビューで、
彼の質問の一つ一つを〝かっこいい〟と思ってしまったこと。
それらが、一気に押し寄せてくる。
「……分かりやすい」
美桜さんが、やさしく笑った。
「いいと思うよ」
「え?」
「うちの弟、めんどくさいくらい真面目だからさ。〝会社と家族と現場〟で手一杯で、〝恋愛してる余裕なんかない〟って本気で思ってるタイプ」
「それは、分かる気がします」
「でもね、さっきの小春ちゃん見てたら、〝この子となら、ちゃんと一緒に悩めるだろうな〟って思った」
胸の奥が、じん、と熱くなる。
「だから、お姉ちゃんとしては」
美桜さんは、人差し指を立てた。
「小春ちゃんが〝好きじゃないふり〟して距離取るのだけは、全力で止めたい」
「好きじゃない、ふり……」
「どうせバレてるから」
「えっ」
思わず顔を覆いたくなる。
「無理に隠そうとしなくていい。仕事は仕事としてきっちりやりながら、〝好きだけど、ちゃんとプロジェクトもやる人〟でいれば、それで十分」
「そんな、うまく……」
「うまくやろうとしすぎると、たぶん息切れする。でも、〝ドジ踏みながらでも一歩ずつ進む〟って決めたら、案外なんとかなるよ」
その言い方が、妙に頼もしかった。
「じゃあ、私は」
わたしは、ハーブティーのカップをぎゅっと握った。
「快浬さんのことをもっと、〝好き〟になっても、いいんですか」
「うん」
美桜さんは、にっこり笑った。
「ふふ、恋してる小春ちゃん、可愛い」
ショールームのガラス越しに、
明るいアイランドキッチンが静かに光っていた。
誰かの暮らしを照らすための光。
その設計図を、
一緒に描いていきたい人が、
自分の中ではっきりと輪郭を持ち始めていた。