今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「で、最後に一個だけ」
高梨さんは、意地悪そうに笑う。
「さっき〝郊外の工場に飛ばされるかも〟って話したけどさ。もし本当にそうなったら、春日さんはどうすると思う?」
「え……」
想像する。
朝、社内に居ない風景。
工場の空気の中で、図面を抱えている彼の姿。
「東京に残って、本社で新しい企画やるか。それとも、〝工場側の企画担当〟として付いていくのか」
そんな選択肢、考えたこともなかった。
でも、その問いが、
自分にとって〝どれくらいこの人のそばにいたいか〟を測る物差しになる気がして、
喉の奥がきゅっとなる。
「……まだ、答えが出せません」
「今はそれでいいよ。ただ、〝そういう選択肢もあり得る〟ってことだけ、頭の片隅に置いといて」
高梨さんは立ち上がり、軽く伸びをした。
「快浬さんの未来の話、こんなに真剣に聞いてくれる人、なかなかいないからさ。その時点で、春日さんはもう十分、あの人の〝相棒〟だよ」
その言葉が、
歓迎会での『ようこそ暁へ』と重なって聞こえた。
仕事の重さ、恋のややこしさ、会社の現実。
全部ひっくるめて、
〝それでも一緒に走るかどうか〟の物語が、静かに動き出していた。