今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「春日さんには、数字の上だけではなく、〝生活者の言葉〟から新しいコンセプトを組み立ててほしい。商品企画も、開発チームとのすり合わせも、現場との調整も。全部やってもらうつもりです」
「全部……ですか」
期待の重みと、責任の大きさに、
思わず背筋が伸びる。
「もちろん、一人ではありませんよ。うちには優秀な技術者とデザイナーがいますから、安心して下さい。ただ、彼らは少し、古い暁に縛られすぎている。そこで〝新しい風〟になり得るあなたの出番だ」
新しい風。
ヘッドハンティングのメールに書かれていた、
その言葉。
『春日小春さん。〝生活者目線の企画力〟あなたの視点は、暁に新しい風を運んでくれると確信しています』
その文面を初めて読んだとき、わたしは思った。
――そんな大層な風じゃないです。
ただ、
私は、目の前の人の『楽になった』の一言が好きなだけで。
けれど今、
社長の真剣な目を見ているうちに、
その言葉が少しだけ、胸の中で形を変えた。
――新しい風になれるかどうかは、
やってみてから決めればいい。
「……精一杯、やらせていただきます」
わたしがそう言うと、
社長は満足そうにうなずいた。
「頼もしい。では、一つだけ、最初に会ってもらいたい人がいる」
社長は、机の上のインターホンに指を伸ばした。