余所者-よそもの-【 2 】
「進学、しねーんだろ?」
「どうしようかな。やりたいことはないけど、サラリーマンは出来そうにないから。何か企業でもしようかと思ってる」
「いきなり経営か?金は?」
「投資でいくらかキャッシュはあるから。潤ちゃんは?」
俺はその場に立ち上がった。
寒さに痺れた足でフェンス越しまで歩いて、ユキを振り返る。
感覚のない両手を、それでもめいっぱい広げて。
この冷たく悲しい空を、まっさらなユキの瞳から隠した。
――ユキ、俺を見ろ。
「俺は糸冬町に行く」
「シトウ町?あんな荒れた街に、どうしてわざわざ?」
「シトウにさ、でっかいホストクラブがある。俺、そこでテッペン獲るんだ」
偉くなることが目的じゃない。
優れることが目的でもない。
論理も正論も蹴り捨てられた終わりの街で、ただ馬鹿みたいに好きなことをやる。
――俺を、見とけ。
お前の目の前で、なんでも自由にやってみせるから。
非合理で、無駄で、とても説明のつかない。
そんな不細工な感情にいくつも揉まれて、お前にいろんなことを教えてやる。
生きることの意味を、いつか絶対お前にわからせてやる。
だから――
「ユキ、お前もついて来い」
一緒に馬鹿になって、生き狂おうぜ。