余所者-よそもの-【 2 】
49話:病
「――おしまい」
目の前のベッドに横たわるカナコちゃん。
話し終えた俺に視線を向ける余裕もないらしく、苦しそうに胸で息をしながら白い天井を見つめていた。
「眠り歌にしてはちょっと重かったか」
布団を掛け直してやれば、とても悲しそうに歪んだ顔をやっとこちらに向けた。
「コタコ……くんは、」
何かを言いかけて、小さく首を横に振る。
「いいよ。もう昔のことだ」
俺は自分の言葉を強調するように目を下げて、カナコちゃんの言葉をじっと待った。
熱に浮かされた瞳は、焦点があまり合っていない。
それでも、彼女は必死に考え、言葉を選んでいる様子だった。
「……コタコくんと出会ったこと、後悔してますか」
こんなこと聞いてごめんなさい、なんて目で口ほどに物を言う彼女に、俺はなるべくわかりやすいように優しく笑ってやった。
「いいや。感謝してる」
俺が答えれば、「……感謝」と確かめるように呟いた。
「だって、コタコが居なきゃ俺はユキと友達になれなかった。コタコが居たから、ユキと出会えて、サンコンと出会えた。コイツらが居たから、今の俺が在る」
「………」
いつか、出会わなければよかったんじゃないかと思ったことがある。
コタコは俺たちと出会わなければ、万年二位のまま高校を卒業して、大学に進学して、立派な医者になって、今も生きていたんじゃないかって。
でもそれは、一緒に過ごした時間の全てを否定することになる。
俺の知ってるコタコの生きた時間の全部を捨ててしまうことは、ちょっともったいない。
そんな風に感傷に浸っていると、カナコちゃんが苦しそうに深い溜息を吐いた。
いい加減、限界らしい。